株でなかなか儲けられないココロの罠、2回目は前回とは逆の場合です。前回は株を買った後に上がったらどうするか? ということでしたね。今回は逆に株が下がったらどういう行動を取るか、そしてそれは一体どういう心理に基づくものなのかということを考えてみましょう。
第1回「株でなかなか儲けられない。その理由にはココロの罠があった!」を読む
①不安なので急いで売る
②損して売るのが嫌なので上がるまで持ち続ける
“不安”と“悔しさ”のはざまで……
株価が上がった時は、誰しもまず “喜び”の感情が生まれます。ところが、今回は逆に下がった時ですから誰もがうれしいはずはありません。まず初めに“不安”の感情が出てきます。そして次に出てくるのは“悔しさ”です。
“不安”の気持ちが強く優先されると①のように急いで売ってしまうという行動を取りがちです。「このまま下がり続けてしまったらどうしよう」という感情が強く出てきて、「早く売って損を少なくしよう」という気持ち(危険回避の心理)になるからです。
例えば、一昨年の英国EU離脱問題の時の短期的な下落や、10年前のリーマン・ショックなどの時に多くの人は売りに走ります。この理由は先が見えない極度の不安に恐れ、心理的なパニックに襲われるからです。
つまらない映画でも席を立てない心理
一方、下がった時に“不安”ではなく、“悔しい”という感情が前面に出てくるとどうなるでしょう。この場合、②のように売らずに持ち続けるという行動をとりがちです。なぜなら、前回お話した通り、人は損をするのが極端に嫌いだからです(損失回避性)。下がったところで売ってしまうと損を確定することになるので、悔しくて売ることができません。「今は下がっているけどもう少し我慢していたら上がるかもしれない」という根拠のない見通しにすがろうとします。
例えば面白いと思った映画を観に映画館へ入ったけれど、しばらく観ている内に予想に反してつまらなかった場合、どうしますか? 「こんなつまらない映画を観ていても時間の無駄だからすぐに出よう」という人はあまりいないでしょう。つまらないとは思いつつ、そのうち面白くなるのではないかという「根拠のない期待」が心を支配して、なかなか席を立てなくなるのです。②の場合の「売らずに持ち続ける」のは、これと同じ心理と言っていいでしょう。
なぜ下がったか? 「理由」が肝心
本来なら、株を売るべきか持ち続けるべきか判断する際には、なぜ下がったのか理由を考えるべきです。したがって英国EU離脱問題など外部の政治的な要因等で一時的に株価が下がったとしても企業の業績や内容自体には変化がないのであれば、売るべきではないでしょう。逆に悪い決算見通しが出るなど業績が悪化したことが理由であった場合は、すぐに売った方が賢明でしょう。
このように不安(危険回避の心理)や悔しさ(損失回避性)という感情に惑わされず、なぜ下がったのか理由を考えた上で冷静に判断するということが大切ですね。