ピーター・リンチ編①「『身近にある10倍株』の探し方」を読む
リンチの銘柄選びの条件
今回はピーター・リンチならどんな日本株に投資するかを考えます。
リンチの銘柄探しの特徴は「日常生活をヒントに大化け可能性のある小型株を探す」ということです。最近ブームになり始めている新しいチェーン店、サービス、スマホのアプリやゲームなどに気づいたら、そこに大化け株のヒントがあります。
そうした株を見つけたら、
②ヒット商品がその会社の業績に与えるインパクトは大きいか
③競争上の強みは何か(他社に真似されないか)
④業績は拡大傾向にあるか
⑤PERは高すぎないか(成長株なら30倍以下、できれば20倍以下)
の5点を検討しましょう。
以上のポイントに留意しながら、時価総額は500億円以下、できるだけ100億円以下の銘柄を中心に10銘柄選びました。
今回の銘柄選びの条件としては①②③は必須としました。④に関しては先行投資がかさんで利益面がやや停滞していても、順調に売上高が伸びていて今後の利益増加も期待できると思われれば、そうした銘柄も選びました。こういった銘柄の場合はまだ利益があまり出ていないのでPERが高くなる場合もありますが、成長余地が大きそうで時価総額が小さければ⑤の条件は少し甘くして選定しました。
ハブ(証券コード:3030)
「 ハブ 」は英国風パブ「HUB」を中心に104店舗(2018年2月現在)展開。毎年10%程度のペースで着実な成長を続けています。英国風のおしゃれで居心地よい店づくりと、カウンターにお酒を買いに行く気軽なスタイルで中長期的にじわじわ拡大していきそう。店舗数もまだ少なく、拡大余地が大きいと考えられます。
ファンデリー(証券コード:3137)
「
ファンデリー
」は健康食宅配「ミールタイム」を展開。栄養士が電話でアドバイスしながら血液検査の数値改善を目指します。10年以上かけて作り上げた全国の医療機関や栄養士の顧客紹介ネットワークと健康食開発のノウハウが強み。高齢化と健康志向が進む中で業績が伸びています。病院や調剤薬局でカタログを目にする機会が増えてきました。
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パルマ(証券コード:3461)
最近、街でトランクルーム、レンタル収納スペース、貸しコンテナなどを目にすることが増えましたが、そうしたセルフストレージ(個人向けのレンタル収納スペース)事業者に情報サイトでの集客、集金、延滞保証、業務システム、物件探しなど様々な業務を提供するアウトソーシング事業を展開しているのが「 パルマ 」です。
国内業者の約6割が同社サービスを利用中とのことで、業界全体のプラットフォームを担う企業になりつつあります。日本のセルフストレージの普及率は0.7%と米国の約10%に比べると拡大余地は大きそうです。
デファクトスタンダード(証券コード:3545)
「 デファクトスタンダード 」が展開しているブランド品リサイクル事業「ブランディア」は、インターネットと宅配で取引を完結できる簡単さが受けて成長中。同社は査定作業をシステム化した「DeCoシステム」を開発して簡単に低コストで査定できる仕組みを持つことが強みになっています。
リネットジャパン(証券コード:3556)
「 リネットジャパン 」はスマホやパソコンなどをはじめとした家電製品のリサイクルを、自宅にいながらインターネット注文で完結させられるサービスで成長中。インターネットで注文をすると宅配で製品を回収し、必要に応じてデータの消去やバックアップなどをしてくれるサービスも提供しています。
エニグモ(証券コード:3665)
海外在住の日本人と、国内にいて海外で売っているものを買いたい人とを結びつけて売買を成立させるサービス「BUYMA(バイマ)」を展開している「 エニグモ 」。
海外在住者は現地で良い商品を探してその情報を希望の売値とともにサイトにアップし、日本国内の客から注文が入ると商品を買い付けて郵送します。同社は商品とお金の受け渡しが確実に行われるように仲介・保証します。海外でしか手に入らない商品や、海外では安く買える商品が国内にいながら買える点が受けて成長中。
クラウドワークス(証券コード:3900)
クラウドソーシングという仕事の形態がフリーランスを中心に広まっています。これは、仕事の発注者が仕事の要件を明確化してインターネットを使って受注者を募るという形態です。
仕事を発注する側にとっては外部の有能な人材を必要な時だけ利用することができるという利点がありますし、仕事を受ける側はどこに居ても仕事を受注できます。また、受注者はスキルと経験を積んで評価を上げていくと有利な条件の仕事を多く受けることができるようになるという利点があります。
このクラウドソーシングのプラットフォームを運営する最大手が「 クラウドワークス 」です。「働き方革命」が進む中でクラウドソーシングは大きな流れになる可能性があります。
ライクキッズネクスト(証券コード:6065)
現在、待機児童対策で保育施設の整備が急速に進んでいます。「 ライクキッズネクスト 」は2017年10月末現在324施設を運営する保育施設運営大手であり、中でも病院・大学・企業が設置する保育施設の受託運営が167ヵ所とこの分野に実績と強みを持ちます。子育世代の職場環境を整える需要が高まる中では、同社の強みが発揮できる余地が大きそうです。
ジェイエスエス(証券コード:6074)
「 ジェイエスエス 」は施設数首位のスイミングスクールを運営。水泳は子供の体力づくりに最適と言われ、子供の習い事の人気ランキングで一位を争う常連です。そのため定員いっぱいで運営するスイミングスクールが少なくないという状況になっています。
しかしスイミングスクールがない地域もあり、同社のような大手チェーンの施設増加が期待されるところです。高齢化社会では年配者向けの水泳教室なども需要が高まるのではないかと考えられます。
レアジョブ(証券コード:6096)
格安オンライン英会話レッスンの利用者が拡大し、企業や学校単位での導入も増えていますが、このサービスの最大手が「
レアジョブ
」です。
同社の強みは、先行者メリットでフィリピンの優秀な講師をたくさん囲い込んだことです。その講師たちは皆高学歴で、欧米のネイティブスピーカー並みに優秀です。
現在は先行投資がかさんで利益面ではやや苦戦していますが、「月会費5800円で毎日25分のマンツーマンレッスンを受けられる」という破格の安さは魅力であり潜在的な需要は大きいのではないでしょうか。
以上、私たちの身の回りで拡大しているサービスを提供している会社を中心にご紹介しました。思い当たる節のある方も多かったのではないでしょうか。皆さんもぜひ、自分の身近なところで伸びている会社を探して投資を検討してみましょう。
今回のテーマで取り上げた上場企業
ハブ
ファンデリー
パルマ
デファクトスタンダード
リネットジャパン
エニグモ
クラウドワークス
ライクキッズネクスト
ジェイエスエス
レアジョブ