物・サービス・場所などを多くの人と共有して利用するシェアリングエコノミー。代表的なものとしては、個人間で物を売買するメルカリや、住宅などを格安で宿泊者に提供するAirbnbなどが挙げられます。そんな新しい経済のカタチとも言えるシェアリングエコノミーですが、2018年は語学学習や習い事など個人が持つスキルや知識をシェアするサービス「teacha」をメルカリが開始したり、LINEがシェア自転車事業を始めたりするなど、サービスが多様化する動きが出始めています。そこで今回は2018年にFROGGY編集部が注目するシェアビジネス関連企業をご紹介します!
スマホで2タッチ! 簡単シェア自転車【LINE】
日本国内に7100万人のユーザーを抱えるSNSサービスを展開する「 LINE 」。そんなLINEが中国大手の摩拝単車(モバイク)の日本法人に出資し、シェア自転車事業に参入しました。2018年上半期からシェアバイクサービス「Mobike」がLINEアプリ内で使えるようになる予定です。
実は中国では、鉄道やバスを補完する存在としてシェア自転車の存在感が増しています。増加する移動ニーズにこれまでの交通網では対応しきれていないという理由もありますが、ほかにも技術的な背景としてスマホで簡単に利用できる点も挙げられます。Mobikeではすべての自転車にGPSが内蔵されており、ユーザーは会員登録後、専用アプリを起動し、自転車にあるQRコードを読み取るだけ! これまでも日本国内で同様のサービスはありましたが、利用の手続きが煩雑だったことなどから普及にはいたりませんでした。モバイクの日本法人であるモバイク・ジャパンによれば、自転車を置く拠点を多く確保ができる見込みとのこと。ユーザーにとって使いやすく、たくさんの拠点を設置できるとなれば、普及に弾みがつく可能性があり要注目です。
「すぐそこ」にあるカーシェアNo.1の会社【パーク24】
時間貸し駐車場「タイムズ」を運営する「 パーク24 」。同社はカーシェアリング最大手でもあり、会員登録をするだけで24時間いつでも必要な時間(15分単位)だけ車が利用できる「タイムズカープラス」を展開しています。交通エコロジー・モビリティ財団の調査によれば2017年3月時点におけるすべてのカーシェアリングサービスの会員数は約109万人。このうちタイムズカープラスがなんと78万人と圧倒的なシェアを誇っています。
同社が圧倒的なシェアを確保している理由が、”すぐそこ”にカーシェア拠点があるということです。国内には全部で約1万3000ヵ所(2017年3月時点)のカーシェア拠点がありますが、そのうち同社が9000ヵ所を超える拠点を持っているのです。もともと全国に展開していた駐車場ビジネスの強みを最大限活かしていると言え、カーシェアリング分野でもその優位は揺るぎないものとなっているようです。
手軽に異文化交流! 「体験」がシェアできる【ガイアックス】
シェアリングエコノミーはなにも車や自転車といったカタチのあるものばかりではありません。個人が持つスキルや、旅先ならではの体験を共有するシェアリングエコノミーもあります。そんな「体験型」のサービスを展開するのが「 ガイアックス 」です。
たとえば、同社の外国家庭料理教室のシェアサービス「Tadaku」では、先生の自宅で1日過ごすホームステイのような料理教室が体験できます。タイ料理やインド料理など外食では馴染みのある外国料理が2500円程度で、しかも手ぶらで楽しむことができます。一味違った料理を習いたかったり、旅行に行く時間や余裕がなかったりする人にとっては、手軽に異文化体験ができるサービスと言えます。同社は他にも暮らしを体験できるサービス「TABICA」や、自家用車の相乗りサービス「notteco」も手がけており、シェアリングエコノミーを体現している企業としておさえておきたい企業です。
業界初のシェアリングエコノミー対応保険を開発【東京海上HD】
少しずつ利用が増え始めているシェアリングエコノミー型サービスですが、同サービスを利用したくない理由として最も多いのが、「事故やトラブル時の対応に不安があるから」という点です。そんな利用者の不安に応える保険を提供しているのが「 東京海上HD 」です。
同社は業界初となるシェアリングエコノミーに対応した自動車保険を2017年12月に販売開始しました。通常であれば、事故などを起こした際はサービス利用者の加入している自動車保険が適用されます。しかし、補償を超えた損害賠償金などが発生するケースもあり、この保険の登場で利用者がより安心してサービスを利用できる環境が整ってきたと言えます。また、同社は自動車保険だけでなく、民泊や物流倉庫のシェアリングサービスにも保険を提供しはじめています。シェアリングエコノミーに対する保険が当たり前となれば、もっと安心して利用できる機会が増えることになりそうです。
最短1時間で! 買い物代行サービス【東急電鉄】
東京、神奈川を地盤とし、民鉄最大の輸送人員を誇る「 東急電鉄 」。そんな東急がアジア最大級のオンライン買い物代行サービスを展開するhonestbee(オネストビー)と2017年9月に業務提携をしました。
このサービスは、webやアプリ上からの注文をスタッフが買い物代行し、注文から最短1時間以内に自宅やオフィスまで届けるというものです。もともと同社は「東急ベル」というハウスクリーニングや家事代行などを行うサービスを展開していますが、この提携によって専門スタッフ以外の人にも買い物代行を手伝ってもらうことができるようになりました。隙間時間で手伝うことができる学生や主婦などを活用し人員不足を補うほか、沿線の商店街などとも協力することで「地域の循環」を作り出そうとしています。シェアリングエコノミーの活用が街や沿線の活性化に繋がれば、鉄道事業の業績底上げにも繋がるかもしれませんね。
経済効果は10兆円以上!?
自動車や自転車など、使う時間が限られているものはシェアするのが当たり前になっていくのではないでしょうか。世界のシェアリングエコノミー市場規模は150億ドル(2013年)から3350億ドル(2025年)にまで膨らむとの試算もあります。また、シェアに付随する消費や、生産性の向上などにより、日本国内だけで10兆円以上の経済効果をもたらすとも言われ、これは東京都の年間予算金額に匹敵する規模です。「シェア」でみんなの生活を豊かにする企業に、2018年は投資してみてはいかがでしょうか。
今回のテーマで取り上げた上場企業
LINE
パーク24
ガイアックス
東京海上HD
東急電鉄