スマホを支える縁の下の力持ちセット

株はテーマで斬れ!/ 日興フロッギー編集部矢島 光

スマホのない生活……いまではもう想像が難しくなってきたひとも多いのでは? 道案内にカメラ、動画の閲覧、スケジュール管理、メールなどなど、さまざまな場面でスマホは私たちを助けてくれます。そんなスマホの中身の部品ですが、じつは日本の会社がたくさん関わっています。どんな技術について、どんな会社が関わっているのかを知ると、投資のヒントが見つかるかもしれませんね。

【三井金属鉱業】の極薄な銅箔は世界シェア90%

「μm」(マイクロメートル)という単位が示すのは1ミリの1000分の1。こんな小さな単位、普段の暮らしではまず意識することがありませんよね。でも今、あなたのポケットやカバンの中のスマホにも、薄さ1.5μmの「銅箔」が入っているかもしれません。

銅箔はスマホなど精密回路の配線材料として使われる材料です。この銅箔の分野で世界トップクラスの企業が「 三井金属鉱業 」。三井金属の銅箔「Micro Thin™」は世界で90%と圧倒的なシェアを誇っています。20年前には、12μmだった三井金属の銅箔は現在、1.5μmまで薄くなっているそうです。イメージがわきにくいかもしれませんが、1.5μmは「髪の毛の100分の1」の薄さだそう。

銅箔はスマホのみならずパソコンなどあらゆる電子機器に使われているため、三井金属の銅箔が活躍する場面はこれからますます増えていくかもしれません。「需要増加に対応するため、銅箔の生産能力を増大する」なんて発表もあったくらいで、薄い銅箔に熱く注目してみては?

これがなきゃスマホの画面は真っ白! 【日東電工】の偏光板

スマートフォンの画面にも日本の企業の技術が活かされています。そのひとつが「 日東電工 」の「偏光板」。この偏光板がないとスマホの画面は白く光るだけ。おもしろい動画も、撮影したはずの我が子の写真も映りません。偏光板が光の透過を制御してくれるから、スマホの画面がさまざまな映像を映し出してくれるのです。

頼もしいことに、その偏光板で世界トップレベルの技術をもつのは日東電工。2016年には、ディスプレー分野で最大の学会「SID 2016」で、世界のディスプレイ産業に多大な影響を与えた製品として日東電工の超薄型の偏光板が選ばれました。スマホの液晶ディスプレイが薄くなり、大きくなり、きれいになっているのも、日東電工の偏光板の貢献によるところが大きいのです。

日東電工は今年創業100周年を迎えます。もともと「粘着テープ」を事業の柱とし、おむつから医療用品まで暮らしのさまざまな場面を支えてきた日東電工。スマホからおむつまで幅広く活躍する日東電工ですから、その技術は次の100年にも求められることが多そう!

スマホの機能のあちこちに【アルプス電気】

2016年に大ヒットしたスマホゲーム『ポケモンGO』。「近所にレアなポケモンがいるらしい」と、スマホ上の地図を見て、見つけたポケモンを実際の景色を背景にして撮影し、画面をタッチして捕まて……そのゲーム要素には「スマホらしさ」がつまっていました。

でも、そうやってポケモンGOを楽しめるのは、「 アルプス電気 」のおかげかもしれません。アルプス電気がつくる「磁気センサ」は現在地情報を知るために不可欠な部品です。また、カメラレンズを動かしてピントを調節してくれるアクチュエータもアルプス電気の得意分野。それにタッチパネルディスプレイも作っています。スマホのさまざまな機能を支えている会社がアルプス電気なんです。

スマホ関連が好調だった影響もありアルプス電気は2018年3月期営業利益は前年比51.7%増と会社予想を発表 。これからは車載向け市場にも注力し、スマホ向けビジネスと車載向けビジネスの両輪化をめざしていくとしています。アルプス電気の部品が自動車をどう便利にしてくれるのか、楽しみですね。

社長は「平成の名経営者」第1位【日本電産】

社名よりも社長のほうがもしかしたら有名な会社かもしれません。「 日本電産 」の創業者であり社長を務める永守重信さんです。永守社長は日本経済新聞が行なった「平成の名経営者」ランキングで1位(2004年)、日経ビジネスの「社長が選ぶベスト社長」の調査でも1位(2014年)、著書を出せばビジネス街のベストセラーとなるカリスマ社長です。

それだけ社長の評価が高いのは、もちろん社業が順調だからこそ。世界シェアを見ると、ハードディスク用モーターでは80%と圧倒的なグローバルトップを誇り、CDやDVD用モーターでも60%と世界屈指のモーターメーカーとして活躍しています。業績を見ても4期連続最高益(※)。
日本電産はスマホの世界でも活躍していて、アップルが発表するサプライヤーリストを見ると「Nidec」(日本電産の英語社名)の文字が。

iPhone 6Sから採用された感圧タッチ機能には小さな振動モーターが使われています。モーターといえば日本電産。ツルッとした画面を触ると指先にリアル触感を返してくれる触覚フィードバックは、注目される技術のひとつです。日本電産の新しい強みとなるかもしれませんね。

※2016年度以降はIFRS、それ以前は米国会計基準に基づきます。

スマホを支える人づくりは【メイテック】

スマホを支えるのは部品だけではありません。どんなモノだって、それを作るのは人。モノづくりは人づくりでもありますよね。スマホの部品を開発したり、設計したり、エンジニアたちの努力があって、今のスマホが生まれています。

そうしたエンジニアを育てている会社が「 メイテック 」です。グループ全体で9000名のエンジニアが在籍するメイテックですが、その特徴は正社員としてエンジニアを雇用し、育てていること。雇用体系が安定していれば、エンジニアも安心してスキルアップに励めそうです。

メイテックの技術者は数、質、単価いずれも業界トップ、派遣先を見るとトヨタ自動車やパナソニック、三菱重工業、キヤノンなど日本を代表する製造業の名前が並びます。スマホばかりか日本の製造業全体をしっかりと支えてくれるメイテック。メイテックへの投資は、日本のモノづくりを支える人への投資、ということでもありそうです。

いかがでしたか? 今回紹介した部品や素材のメーカー、人材派遣などの会社は日ごろ、意識することの少ない分野かもしれません。日々の暮らしと直接結びつかなくても、スマホを通じて考えれば身近な存在に思えてきますよね。「あれ、意外と身近じゃん」と思ったら投資先として検討してみると、縁遠く感じられた会社がもっと身近に感じられるかもしれませんね。

今回のテーマで取り上げた上場企業

三井金属鉱業
日東電工
アルプス電気
日本電産
メイテック

本サイトは、原則として原稿作成時点における情報に基づいて作成しております。また、記載された価格、数値等は、過去の実績値、概算値あるいは将来の予測値であり、実際とは異なる場合があります。投資に関する最終決定はお客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。