北朝鮮のミサイル発射や衆議院解散など、驚かされることが多かった2017年7-9月。日経平均は、北朝鮮問題などが重石となり、なかなか上昇しづらい時期もありましたが、アベノミクスの再始動期待などから、3ヵ月ぶりに高値を更新しました。そんな中、「儲かりやすい」と投資家に人気のIPOは、どうだったのでしょう? 最も上がった銘柄は? 7-9月のIPOをおさらいしてみましょう。
7-9月期は14勝1敗
7-9月に上場した企業は合計で15社。このうち、初値が公募価格を上回った銘柄はなんと14社。公募価格を下回った銘柄は1銘柄だけでした。勝率にすると93%。好調な結果だったといえるでしょう。
今年最高の値上がりを記録した銘柄も
好調だった7-9月のIPOには、今年最高の上昇率を記録した銘柄がありました。それは、ウォンテッドリーです。公募価格1000円に対して、初値は5010円。上昇率は401%、株価は5倍になりました。就職に活用できるビジネスパーソン向け交流サイト(SNS)を運営しており、「働き方改革」で転職市場が拡大する中、今後の成長に期待が高まったようです。
このほか7-9月の上昇率トップ5の銘柄では、「ユーチューバー」のマネジメントプロダクションであるUUUM(ウーム)、ウェアラブルデバイスやIoTを手がけるトランザスなどがあります。旬なテーマには投資家の注目も集まりやすく、上昇しやすいようですね。
IPOは特にマザーズがねらい目?
勝率が9割超と好調な7-9月のIPOですが、その中でもウォンテッドリーやUUUM、トランザスなど東証マザーズで上場した銘柄が特に好調です。7-9月はもちろん、2017年1月以降、東証マザーズで上場した銘柄はすべて初値が公募価格を上回りました。32銘柄すべて上昇し、全勝です。さらに、株価が2倍以上になったものも32銘柄のうち21銘柄と6割を超えています。
2010年以降の長い期間を見ても同じく、東証マザーズの優位性が際立っています。全体での勝率は80%であるのに対して、東証マザーズで上場した銘柄だけにしぼった勝率は93%となっています。
なぜ東証マザーズで上場すると株価は上がりやすいの?
なぜ東証マザーズで上場した銘柄は株価が上がりやすいのでしょう?
それは、東証マザーズで上場する企業は新興企業が多く、成長期待が高いからです。東証マザーズの説明文を日本証券取引所が書いているので、見てみましょう。
東証マザーズは、まさに「高い成長可能性」のある企業が集まる市場なのです。
実際に東証1部とマザーズの経常利益の伸び率を比べたものが下のグラフです。東証1部と比べてマザーズは成長率がほとんどの期間高い傾向にあることがわかります。
また、こういった高い成長が見込まれる企業は、旬のテーマを手掛けていることが多く、投資家から注目が集まりやすいということも、東証マザーズ上場の銘柄が値上がりしやすい理由の1つといえるでしょう。
好パフォーマンスで投資家に人気のあるIPO。今度応募するときは、会社の事業内容だけでなく、「どこで上場するか」ということに注目するといいかもしれませんね。