BtoBでも本格化 「キャッシュレス」関連株が上昇

直近の値動きから見るテーマ株/ QUICK

株式市場で「キャッシュレス」関連株が買われています。QUICKが選定する関連銘柄の平均上昇率は3.5%と、東証株価指数(TOPIX、0.3%安)に対して逆行高となりました(6月14日までの5営業日の騰落)。株価が上昇した5銘柄とその背景について解説します!

政府目標の「決済比率4割」も達成間近

キャッシュレス関連銘柄が買われたきっかけはアメリカン・エキスプレス・インターナショナルが13日に発表した「企業間(BtoB)決済のキャッシュレス化」に関する最新の調査結果です。

国内の幅広い業界の約1000人を対象とした調査では、インボイス制度や電子帳簿保存法の改定などの制度変更が後押しし、支払い側では3年後にキャッシュレス導入率が52.2%に到達し、請求側でも41.3%となる見通しです。

キャッシュレス決済は個人を中心に普及し、2023年のキャッシュレス決済比率は過去最高の39.3%と、政府が目標としていた25年6月までに4割程度の達成も間近です。個人に比べ遅れていたBtoBでも導入が着実に進み、キャッシュレス決済の普及が一段と加速するとの見方から、関連銘柄が物色されました。

後払い決済サービスが主力【ネットプロテクションズHD】

上昇率首位の「 ネットプロHD 」は、電子商取引(EC)などで商品を購入後、コンビニなどで支払いができる後払い決済サービスを手掛けています。利用者が会員登録やクレジットカード情報の入力をせずに使えるのが特徴です。請求書発行や代金回収も代行で請け負うため、加盟店側にも業務負荷が減るメリットなどがあり、約58万店舗が導入しています(23年3月末時点)。

同社はBtoB向け後払い決済サービスも手掛けています。従来の銀行やコンビニでの振り込みに代わり、クレジットカードで決済した金額が月1億円を突破するなど、順調に拡大しています。 

ミニアプリ開発も手掛ける【ネットスターズ】

上昇率2位の「 ネットスターズ 」は30種類以上のQRコードや電子マネーなどに対応したキャッシュレス決済端末「StarPay」を手掛けています。企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)支援の一環として、LINEやPayPayなどのスーパーアプリ上で、支払いや予約、デジタル会員証の発行などが出来る「ミニアプリ」開発やセルフレジシステムの導入などもしています。 

同社は中国の騰訊控股(テンセント)と決済サービス微信支付(ウィーチャットペイ)の代理店契約を結んでいます。新型コロナウイルス禍前の19年3月にはインバウンド(訪日外国人)全体の25%を占めていた中国人旅行者の戻りが鮮明になると、同決済サービスのさらなる普及も期待できます。 

電子ギフトも需要拡大中

GMOPG 」はECサイトやデジタルコンテンツ向けにオンライン決済プラットフォームを導入しています。キャッシュレス化が進むに連れて、同社のプラットフォームも利用増加が期待できます。

ギフティ 」は飲食店や小売店の商品と交換できる電子チケットの発行システムを手掛け、会員数が堅調に推移しています。アンケートの謝礼や福利厚生などで活用できる法人向けサービスの需要も徐々に拡大しています。キャッシュレスの拡大で、プレゼントの電子化が当たり前になるかもしれません。

TMN 」はキャッシュレスサービス決済端末の販売などを手掛けており、導入端末数は96万台を超えています(24年3月末時点)。駐車場の精算機への導入などに事業領域を拡大し、QRやバーコードでの決済量を増やしていくのを目指しています。 

デジタル地域通貨も普及の流れ

地域経済の活性化につなげようと、キャッシュレス決済を活用したデジタル地域通貨を導入する自治体が増えています。

ポイントが付与されるほか、商品券をもらえる自治体もあり、さらなる普及の加速が期待できます。デジタル地域通貨の導入に関わったキャッシュレス関連銘柄の業績への寄与も見込まれます。地域経済に関するニュースも日々確認しながら、投資先を見極めたいですね。