個人が自分のスキルに値付けをして、インターネット上に簡単に販売できるプラットフォーム「ココナラ」。2012年に創業したココナラは多様なスキルを可視化して個人の可能性を広げるCtoCのスキルマーケットを開拓し、さらにCtoB領域でも事業を拡大している。リクルートから転じて2020年に社長に就任した鈴木歩社長に、同社だから提供できる価値や経営のこだわりについて聞いた。
誰もが挑戦できる「フェアなバッターボックス」を作りたい【前編】を読む
ユーザーの声、聞きまくってます
この仕事をやっててよかったなと思うのは、やはり目の前のユーザーが「ココナラのおかげで人生が変わりました!」と喜ぶ姿を見られるときです。
目指すのは国民の大多数、何千万人に使ってもらえるサービスプラットフォームなのですが、たった一人のユーザーのお便り1通で、むちゃくちゃ泣けてきます。

ユーザーの声を直接聞くコミュニケーションは、非常に重視しています。私が最も時間をかけていると言っても過言ではないかもしれません。
方法は5つくらいありまして、一つ目は定期的に実施するユーザーアンケートです。何千人もの方々から回答をいただけるのですが、もちろん全件目を通します。
二つ目が、ココナラのサイトを訪問してくださった方は誰でも投稿できる「ご意見ボックス」。返信はできないこともあるとお断りを入れた上で、ココナラのサービスに対するご意見やご要望を自由に記入していただく機能なのですが、実は即時に全社員のSlack(社内チャットツール)に表示されるように連携しています。当然、社長の私も毎日すべて見ています。ネガティブな意見も、率直にいただけるのでありがたいですね。

三つ目は、SNSのエゴサーチです(笑)。マーケティング部門の担当者が定期チェックしていますが、私も暇さえあれば「#ココナラ」で検索しては、どんなつぶやきが流れてくるかチェックしています。
私たちに届くことを特段意識せずに「ココナラのこの機能が便利だよね」など喜んでいただけている様子を発見すると、うれしくなりますね。
諦めかけていた夢を、ココナラで叶える
四つ目は、「ココナラブログ」。ユーザーの皆さんに使っていただけるサイト上のブログ機能なのですが、ここには長文の表現で「私がなぜココナラと出会い、ココナラを使い続けているのか」といった思いや、チャンスを開いたエピソードなどを披露してくださる方が少なからずいて、中には「諦めかけていた夢をココナラで取り戻すことができた」とエモーショナルに綴ってくださる方も。胸が熱くなります。

象徴的な例として、エミリアさんというハンドルネームの女性について少しお話しさせてください。
エミリアさんはもともと音楽系のスキルを持っていながら、それが発揮できないキャリアを進んでいたそうです。ココナラで試しに楽譜を500円で売ったことをきっかけに楽曲制作の活動が一気に広がったと。さらにはその経緯を情緒たっぷりに描いたブログが読まれて、「文章力も私のスキルなんだ」と自覚されるに至り、今やライティングの分野でもご活躍されています。
まさに当社のビジョンである「一人ひとりが『自分のストーリー』を生きていく世の中をつくる」の理想形でもあり、こういうお話を聞けると、「私たちが実現したいのはこれだ」と自信を持つことができます。
最後の五つ目となるユーザーとの接点が、イベントです。この年末には100人ほどのユーザーをご招待してパーティー形式のイベントを開催し、交流を楽しんでいただきます。私はもちろんのこと、社員も積極的に参加して、ユーザーの皆さんの声を直接伺う貴重な機会です。
「初期の頃からずっと使っているんですよ」「私がココナラをここまで育てた」と、仲間意識をもって応援してくださるユーザーの方が多いのはうれしいことです。

2023年12月に開催したココナラ出品ユーザー向けイベントには約100名が参加
最優先事項は「ユーザーにとって価値があること」
私自身の決意として、「ユーザーと近い距離で向き合える仕事を求めてココナラに入社した」というお話を先にしましたが、まさにその願いは叶っていると思いますね。
めちゃくちゃ楽しいですし、誰よりもユーザーに近い場所にいようという姿勢は現場の社員にも負けませんし、プロダクトを触って率先して最前線で開発にも関わります。バリバリの「プロダクト本部長兼社長」です。
社内のコミュニケーションにおいても、フェアに、価値ある意見を求めたいタイプです。
社歴の長短にかかわらず、ユーザーにとって価値のある意見を率直に言える人が、会社にも価値を生み出していると考えますし、私自身も若い頃から言いたいことを言ってきました。
ただ、私としては、立場関係なく、ユーザーの人生を応援するために汗をかく同志として、社員とも肩を組んでいきたいという思いがあります。

ここ最近は市場の環境も厳しく、経営の面では踏ん張りどころですが、「諦めずにやり続ければなんとかなる」という信念があります。
このマインドセットの基盤はいつ磨かれたのだろうとふり返ると、厳しい目標設定のもとで鍛えられたリクルートでの20代だったのだろうと思います。
自分の力の限界を自分で決めずに、必死にボールを打ち返し続けているうちに、いつの間にか限界を突破していた。泥臭くて恥ずかしい失敗もたくさん経験しました。スマートでカッコいい経営者ではありませんが、現場でユーザーに触れるのが大好きで、不器用ながらも一つのサービスを大事に育ててきたという自負があります。
自分の底力を信じられる経験を、できるだけ若いうちに積むことができると、「これぞ自分の力を注ぎたい仕事だ」という出会いが巡ったときに思い切って飛び込む勇気も持てるのではないでしょうか。
一人ひとりの強みがなめらかに社会とつながるきっかけをさらに多く生み出せるよう、目の前のユーザーに向き合い続けていきます。
ココナラ