人間は、「借り手」と「貸し手」の2つの種族にわけられる――。19世紀イギリスの名エッセイスト、チャールズ・ラムが、『エリアのエッセイ』で述べた言葉だ。一見、借金する人を非難しているように見えるが、そうではない。ラム自身は「貸し手」の側だが、多少の自虐とユーモアを込めて、お金を貸す人を「みすぼらしく、疑い深い」、借りる人を「人を信ずる、おおらかな態度」と書いている。さらに、本の貸し借りに例えて「理想の借り手とは、感想をたくさん書き込んで返してくれる人」だと言う。ラムはきっと、こう言いたかったのだ。「お金を貸す人、借りる人、両方いるのが世の常。自分が貸す側のときは、相手の性格を知り、“後で何倍にもして返してくれる人”に貸すのが賢明だよ」と。作家らしい、深い含蓄を感じさせる名言である。
※本文は『エリアのエッセイ』(平凡社ライブラリー)船木裕(訳)を参照した。
■チャールズ・ラム(作家、随筆家)
1775~1834年。ロンドンの東インド会社の経理部に勤務する傍ら、文筆活動を行う。実姉メアリーとの共著『シェイクスピア物語』と、『ロンドン・マガジン』誌にエリアの筆名で寄稿したエッセイをまとめた『エリアのエッセイ』で知られる。精神疾患をもつ姉の保護者として、生涯独身を通した。
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