株式市場でゲームセンターなどを運営する「アミューズメント施設」関連株が買われています。QUICKが選定する関連銘柄の平均上昇率は6.9%と、米金融引き締めの長期化懸念などから下落した東証株価指数(TOPIX、2.9%安)に対して逆行高となりました(8月18日までの5営業日の騰落)。株価が上昇した5銘柄とその背景について解説します!
3つの好材料が株価を押し上げ
アミューズメント施設関連株を巡って好材料が盛りだくさんです。まずは、人の動きの活発化。新型コロナウイルスの感染症法上の扱いが、5月に季節性インフルエンザと同じ「5類」に移行し、人々の外出機会が増加しました。気軽な行先の1つとしてアミューズメント施設が選ばれているようです。
二つ目はアミューズメント施設の変化と進化。ユーザーの嗜好の変化に対応し、かつての主力だったテレビゲームやメダルゲームからクレーンゲームへ注力。そのクレーンゲームはアニメ人気の追い風に乗っています。アニメの種類が増え、景品であるキャラクターグッズの人気が拡大。また、ゲームで獲得できる景品は多くがオリジナルの「限定品」であるため、クレーンゲームが人を惹きつけています。
そして三つ目は、アミューズメント施設関連企業の新規上場。7月28日、GENDA(ジェンダ)が東京証券取引所グロース市場に新規上場しました。新規上場は、その業界が拡大していたり、活発な状況にあることを連想させます。企業の決算発表も後押しとなり関連銘柄の株価上昇に弾みがつきました。
M&Aで成長し新規上場【GENDA】
上昇率首位は新規上場した「 GENDA(ジェンダ) 」。「GiGO」ブランドを主としたアミューズメント施設を運営しています。積極的なM&A(合併・買収)戦略で店舗数を拡大してきました。2020年にセガサミーホールディングス傘下のアミューズメント施設運営会社だったセガエンタテインメントの株式を、21年にはバンダイナムコの北米施設を取得しました。7月末時点で国内外で256店舗、スタッフの常駐しないゲームコーナーを87カ所運営しています。2024年1月期の連結売上高は前期比3%増、純利益は微増を見込んでいます。
4~6月期の営業利益が6倍に【共和コーポ】
上昇率2位は「 共和コーポレーション 」。中部・関東地方を中心に60店を展開しています。8月9日に発表した2023年4~6月期の連結決算は営業利益が前年同期の約6倍に拡大。事業別では、アミューズメント施設運営事業の売上高が前年同期比14%増、同業他社向けに業務用ゲーム機や景品などを販売する事業の売上高は同2.3倍に増加。4月には群馬県で2店舗目となる、様々なアスレチックが設置されたキッズスペースを併設した「アピナ吉岡店」を出店しました。
次はアニメ人気を武器にインバウンド取り込みを期待
「 イオンファンタジー 」は、1988年にジャスコの社内ベンチャーだったアミューズメント事業課からスタート。5月末時点で国内外9カ国に1091店舗を展開しています。8月16日に発表した7月の既存店売上高は前年同月比で11.5%増加しました。「 バンダイナムコホールディングス 」は、6月末時点で国内外で直営267店舗を運営。2023年4~6月期の連結決算でアミューズメント事業が前年同期比で2割強の増収となりました。「 ラウンドワン 」は、ボウリングやカラオケ、アミューズメント施設を運営。既存店舗の一部エリアを改装し、クレーンゲーム機を合計約300~600台設置した「ギガクレーンゲームスタジアム」を70店展開しています(8月1日時点)。これらの銘柄も買われています。
アミューズメント施設は、人気のクレーンゲームを軸に、様々なキャラクターとのコラボ景品などを投入し、家族を含む幅広い顧客層を獲得する戦略がうまくいっています。今後は、外国人に訴求力のあるアニメを武器に、急回復する訪日外国人客(インバウンド)を取り込めるかも鍵になりそうです。