2024年1月から始まる新しいNISA(少額投資非課税制度)。この連載では、新しいNISAに関するみなさんのギモンやよくある質問にお答えします。今回は、新しいNISAとこれまでのNISAの違いについてサクッと解説します!
そもそもNISAとは?
NISAとは、投資によって得られた売買益や配当金などが非課税※となる制度です。通常は売買益や配当金に対して20.315%課税されますが、NISA口座で投資すると非課税になります。
元々はイギリスのISA(Individual Savings Account=個人貯蓄口座)を参考に日本版のISAとして導入され、NIPPONの頭文字「N」をとってNISAと名付けられました。
NISAには18歳以上の方が利用できる「一般NISA」「つみたてNISA」と、18歳未満の方が利用できる「ジュニアNISA」の3種類があります。
2024年からは「新しいNISA(以下「新NISA」といいます)」として、より使いやすい制度にパワーアップします。
「新しいNISA」はどう変わる?
現行NISAと新NISAを、下記にまとめました。
大きく変わるポイントは5つあります。どんな点が変更されるのか、一緒に確認してみましょう!
②非課税保有限度額が1800万円まで拡大
③「つみたて投資枠」と「成長投資枠」が併用可能に
④売却すると非課税投資枠が復活する
⑤「現行NISA」とは別の管理になる
①非課税保有期間が無期限化
現行NISAでは、一般NISA・ジュニアNISAは5年間、つみたてNISAは20年間と、非課税で持てる期間が限られています。一般NISAとジュニアNISAは、ロールオーバーという制度を利用して延長することもできましたが、手続きが必要でした。
一方、新NISAでは非課税保有期間が無期限化するため、新NISAで買ったものは、いつ売っても非課税となります。また、ロールオーバーの手続きも不要となるため、面倒な作業が1つなくなります。
さらに、今まではNISA口座を開設できる期間が限られていましたが、新NISAでは制度が恒久化されました。よって、2024年以降はいつでも口座開設できるようになりました。
②非課税保有限度額が1800万円まで拡大
2023年までのNISAでは、年間非課税枠が120万円(一般NISA)、40万円(つみたてNISA)、80万円(ジュニアNISA)と決められています。一方、新NISAでは、年間投資枠が240万円(成長投資枠)、120万円(つみたて投資枠)となり、あわせて年間360万円まで投資できるので、投資枠が大幅にアップします。
年間投資枠の増加にともなって、新NISAでは、非課税で投資できる限度額が1800万円まで拡大します。1800万円のうち1200万円までは、株式や投資信託などに投資できる「成長投資枠」にて投資できます。なお、1800万円すべてを「つみたて投資枠」で投資してもOKです。
③「つみたて投資枠」と「成長投資枠」が併用可能に
現行NISAでは、「一般NISA」と「つみたてNISA」を併用できません。年単位で選択することは可能ですが、手続きが必要でした。一方、新NISAでは「つみたて投資枠」と「成長投資枠」を併用することができちゃうんです。「つみたて投資枠」で投資信託をコツコツつみたてしつつ、「成長投資枠」では値上がりを期待して株式に投資する、といったことが同時にできるのは嬉しいポイントです。
④売却すると非課税投資枠が復活する
現行NISAでは、買付した金融資産を売却しても、非課税投資枠は復活しません。新NISAでは、売却すると、なんと買付額分が翌年以降に新たな非課税枠として復活するんです。復活した非課税枠が再利用できるのは嬉しいですね!
⑤「現行NISA」とは別の管理になる
新NISAは「現行NISA」とは別に管理されます。そのため、「現行NISA」で買ったものを「新NISA」の非課税枠に移管(ロールオーバー)することはできません。
今年「現行NISA」で投資した分は非課税保有期間が終わるまで、非課税で保有できます。「新NISA」を待たずに現行NISAも活用することで、おトクに投資できますよ!
新NISAで残念なポイントを1つだけ挙げるとすれば、ジュニアNISAがなくなることにより、18歳未満の方が投資できなくなるという点です。
全体を通してみると、現行NISAの不便な点が改良され、生涯を通して資産形成がしやすくなったと言えるでしょう。
いまNISA口座を作れば自動で作られる
すでにNISA口座を持っている方は、その口座がある金融機関にて自動で新NISA口座が作られます。まだ持っていない方は今のうちに申し込んでおきましょう!
ジュニアNISA口座をお持ちの方は、18歳の1月1日時点で、ジュニア NISA口座を開設している証券会社などに、NISA口座が自動的に開設されます。
NISA口座を持っているけれど、金融機関を変更したい方は、現在NISA口座を開設している金融機関に連絡し、手続きをしましょう。