株式市場で「土壌調査・汚染対策」関連株が買われています。QUICKが選定する関連株の平均上昇率は9.1%と、中国の景気懸念などから下落した東証株価指数(TOPIX、1.5%安)に対して逆行高となりました(7月7日までの5営業日の騰落)。株価が上昇した5銘柄とその背景について解説します!
ダイセキ環境ソリューションが上方修正
土壌調査・汚染対策関連株が買われたきっかけは、企業が発表した業績の上方修正でした。6月30日、土壌汚染対策を手掛けるダイセキ環境ソリューションは、2024年2月期の連結営業利益が前期比48%増の20.4億円と、従来予想を28%上回る見通しだと発表しました。
主力の土壌処理事業でコンサルタント営業による案件が好調に推移する見通しです。中京エリアの工場再開発でリサイクルセンターの稼働率が高水準で推移したほか、関東や関西でも大規模工場の廃棄物や汚染土壌の撤去案件などの採算が向上しています。
工場再開発などに伴う土壌の調査や汚染対策の需要が拡大しているとの見方から、関連株にも物色が広がりました。
コンサル営業の売上高比率が2年ぶり高水準【ダイセキ環境ソリュ―ション】
上昇率首位の「 ダイセキ環境ソリューション 」は、コンサルティングから土壌調査や調査計画、有害物質の分析、リサイクル技術を駆使した処理などを自社で手掛けています。同社が経営指標の一つとして重視しているコンサル営業売上高(メーカーや土地所有者などからの土壌処理に加えて、調査と工事を合わせた売上高)の単体売上高に占める比率は2024年2月期第1四半期に38.4%と22年2月期第1四半期以来の高水準になりました。
2022年10月~23年4月の営業利益が2.5倍に【キタック】
上昇率2位の「 キタック 」は、地質・環境・土木分野の専門家を擁し、地質調査・環境調査・建設コンサルタントなど、公共土木事業のなかで幅広い役割を担う「総合建設コンサルタント」です。台風や豪雨などの自然災害に伴う復旧工事や、老朽化したインフラの補修や維持管理など国内公共事業の需要が底堅く推移。5月26日に発表した2023年10月期第2四半期累計の連結営業利益は1.06億円と前年同期の2.5倍に膨らみました。
政府の半導体工場誘致で需要拡大も
そのほか、「 環境管理センター 」は、環境調査や分析、課題解決までワンストップで対応。「 応用地質 」は、道路や都市計画、土木構造物、建築構造物などの建設に伴う地盤の調査から設計・施工管理にいたる一連の業務を展開。自然災害、環境保全にも対応し、測定用機器なども開発しています。「 鉱研工業 」は、土壌汚染対策工事を手掛けるエンバイオ・ホールディングスの子会社と協業し土壌汚染対策一括サービスを提供。これらの銘柄も買われました。
岸田文雄首相は5月に米国や欧州、韓国、台湾の半導体関連の7社の幹部らと面会し、日本への投資を呼びかけました。台湾積体電路製造(TSMC)が熊本県に工場を建設しているほか、米国のマイクロンも広島の拠点を拡充しています。工場建設では地質調査や地盤調査が求められ、老朽化した工場の再開発を含め工場建設の増加は需要拡大につながります。需要を取り込み成長につなげられる企業を見極めて投資していきたいですね。