株式市場で「AI(人工知能)」関連株が買われています。QUICKが選定する関連株の平均上昇率は5.2%と、円安基調や海外勢の買いを追い風に大幅高となった東証株価指数(TOPIX、1.7%)を上回りました(6月2日までの5営業日の騰落)。株価が上昇した5銘柄とその背景について解説します!
米エヌビディア、5~7月期は64%の増収見通し
AI関連株が買われたきっかけは、米国の画像処理半導体(GPU)企業が発表した強気の業績予想でした。5月24日にエヌビディアが示した23年5~7月期の売上高は110億ドル(中央値)と前年同期を64%上回る見通しです。2~4月期は文章や画像などを自動で作れる生成AI向けなどでGPUの需要が急拡大し、データセンター向けの売上高が過去最高を更新。この勢いは続くとしています。
AIを巡っては、今年1月、マイクロソフトがチャットボット「ChatGPT」を手掛ける米新興企業オープンAIに数十億ドルの投資をすると発表。これを皮切りに、AIチャットに関する動きが活発化していました。エヌビディアの決算からも、AI用GPUの需要急拡大が伺えます。株式市場でも関連銘柄が買われました。
生成AIでエヌビディアと協業【ソフトバンクグループ】
上昇率首位の「 ソフトバンクグループ(SBG) 」は、傘下のソフトバンクが5月29日にエヌビディアとデータセンターの構築で協業すると発表しました。ソフトバンクは「分散型AIデータセンター」を全国の主要都市に配置する計画で、生成AIと高速通信規格「5G」や次世代通信規格「6G」のアプリケーションを提供するために、エヌビディアのGPUを採用する計画です。
AIによる画像解析に強み【ニューラルグループ】
上昇率2位の「 ニューラルグループ 」は、AIによる画像解析が強みです。交通データの分析や、駐車場・物流施設の満車・空車の把握、商業施設などの広告分析と広告表示などを提供。また、2600万枚の画像データによる世界初のファッショントレンドデータベースやリモートワークのセキュリティサービスなども手掛けています。
国内AIシステム市場、2022年は35.5%の高成長
そのほか、「 メンバーズ 」はグループ会社のメンバーズエーアイリーチカンパニーがAIスペシャリストによるビジネス支援を提供。「 FRONTEO 」は人間の曖昧さを「数学的アプローチ」で理解する自社開発のAIエンジン「KIBIT」で様々な専門家の判断を支援。「 ダブルスタンダード 」は音声テキスト化システムや「対面営業」入力負荷軽減システム、議事録生成システムなどにAIを活用。これらの銘柄も買われています。
2022年の日本国内のAIシステム市場規模は、前年比で35.5%拡大したとの報告もあります。新型コロナウイルスの流行をきっかけにDX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組む企業が増え、AIシステムにも追い風になっているようです。AI普及の恩恵を受ける銘柄を見極めて投資していきたいですね。