EV販売の勢い続く 需要増期待で「EV部品」関連株が上昇

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株式市場で「EV(電気自動車)部品」関連株が買われています。QUICKが選定する関連株の平均上昇率は4.1%と、海外投資家の買いなどから大幅に上昇した東証株価指数(TOPIX、3.1%高)を上回りました(5月19日までの5営業日の騰落)。株価が上昇した5銘柄とその背景について解説します! 

芝浦機械、今期の大幅増益予想を発表

EV部品関連株が買われたきっかけは、企業が発表した強気の業績見通しでした。5月15日に射出成形機や工作機械を手掛ける芝浦機械は、2024年3月期の営業利益が150億円と前期の2.6倍となる強気の業績予想を発表しました。

中国でEV用リチウムイオン電池向けセパレータフィルム(BSF)製造装置の受注が大幅に伸びており、23年3月期の受注高は1916億円と22年3月期から17%増え過去最高を更新しました。高水準の受注高に加え、24年3月期も中国でBSF製造装置の需要拡大が続く見通しだといいます。EV部品を手掛ける他社でもEV部品の売り上げが増えるとの観測が広がり、物色されました。

BSF製造装置の生産能力を増強【芝浦機械】

上昇率首位の「 芝浦機械 」は、EV販売の拡大に伴うBSF製造装置の需要拡大を見込み現行の生産能力を2025年3月期中までに4ラインから6ラインに増設する計画です。BSF製造装置は30年まで毎年1000億~1500億円の売り上げ規模が続くと見込んでいます。30年以降も脱炭素社会への移行を背景にEVや電力貯蔵などの増加で需要が拡大すると予想しています。

 リチウムイオン電池向け部材や冷媒の開発を強化【ダイキン

上昇率2位の「 ダイキン 」はエアコンが主力事業ですが、半導体や自動車向けにフッ素樹脂など化学品も提供しています。2024年3月期はEV需要の高まりに対応し、リチウムイオン電池向け正極用バインダーやシール材の用途開発を強化する方針です。環境に配慮しながら優れた効率でEVの冷暖房能力を向上させるEV用冷媒も開発中です。 

世界のEV販売、2023年は35%増加見通し

そのほか、米テスラへの電池供給で知られる「 パナソニックホールディングス 」は2023年2月に米カンザス州の新工場の建設に着手したほか、4月には北米で商用車向け車載電池供給契約を結ぶなど販路を拡大。電子部品大手の「 TDK 」は24年3月期に車載用のセラミックコンデンサーなどの車載向け電子部品の販売が伸びる見通し。電子部品の「 ニデック(旧日本電産) 」はモーターとインバーター、ギアを一体化したEV用駆動装置「イーアクスル」を含むEVトラクション事業の24年3月期の営業損益が黒字に転換する見通し。これらの銘柄も買われています。

国際エネルギー機関(IEA)の「Global EV Outlook 2023」によると、2023年の世界のEV販売台数は1400万台と前年比で35%伸びる見通しです。自動車全体の販売台数に占める比率は20年にわずか4%でしたが、23年は18%まで高まると予想しています。世界各国が脱炭素の目標を掲げ、購入費の補助などで普及を目指していることもあってEV販売の勢いは当面続きそうです。EV部品を手掛ける企業でも収益に占める比率はまちまちのため、EV市場拡大の恩恵を受けやすい銘柄を見極めて投資していきたいですね。