マーケットの「温度感」がわかる連載「カエル先生のマーケットハイライト」。決算シーズン真っただ中の今回は、決算資料の読み方を解説します! 小難く見える決算資料も、ポイントを絞れば意外と楽しく読めちゃうかも!?
米国の金融不安は一時的に収まったものの、実体経済への先行き不安が残る株式マーケット。そんな中、国内では3月期決算企業の本決算発表が本格化しています。何ページもある決算資料の中でどこを最初に見たらよい? 読み解き方のコツは? そんなギモンにお答えします。
危機は回避も、先行き不透明感強い
4月28日の日経平均株価は2万8856円となり、前月末比814円高でした。米国の金融不安が後退し、日経平均は年初来高値を更新しました。ただ、国内企業の決算は外需系企業を中心にまだら模様の結果が相次ぎ、今期業績への先行き不透明感などが上値を抑える場面も見られました。
決算資料で見るべきポイント3つ
株式投資をするうえで、決算発表をチェックすることは重要だとわかりつつも、資料の見づらさや情報量の多さに腰が引けてしまいがち、という方少なくないのでは? こんなふうに感じてしまう決算資料ですが、ポイントを3つに絞ってチェックするだけで、投資のヒントを得ることができます。
マンガ「第7話 決算書は企業の通信簿!伸び盛りの優等生は?」に登場してくれた個人投資家のはっしゃんさんによれば、決算資料で最初に見るべきポイントは決算短信1枚目の3ヵ所だけでまずは良いそうです。
②純資産と自己資本比率
③今期の業績予想
チェックポイント①前期の実績
まずは発表されたばかりの前期の実績を確認しましょう。特に株価に影響を与えやすいのは、売上高と経常利益の2つです。これらが前々期よりも増えたのか、減ったのか。例年に比べてその伸び方が拡大したのか、縮小したのかをチェックしましょう。利益は増えているのに売上高が伸びていない場合は、利益増が一過性の要因による可能性もあるので、注意が必要です。
チェックポイント②純資産と自己資本比率
ここでは、それぞれが増えているか減っているかだけ把握できればOKです。自己資本比率が低下していたら、その企業が借入金で事業の資本を賄(まかな)っていることになります。借入に見合うだけの利益を上げているならば良いですが、事業がうまくいっていないのにどんどん借入を増やしているとすれば、注意が必要かもしれません。
チェックポイント③今期の業績予想
はっしゃんさんによれば、「ここは決算書の中でも企業の性格が最も出るところ」だそうです。一般的には、直近の業績動向などを元にしつつ、やや保守的な業績予想を出すところが多いです。それでも大きな増収増益を予想してくるようなら、好業績が続くような事業環境が見えている証左でもあるので、必ず変化率はチェックしておきましょう。
決算スライドもうまく使い分けよう
決算短信のチェックなら既にやっている! という方は、ぜひ決算説明会用の資料「決算スライド」も探してみましょう(公表していない企業もあります)。グラフなどが多かったり、KPI(重要経営指標など)が書かれているケースもあります。事業の内容とその進捗を具体的に知ることもできますので、会社HPに掲載されていたら一度確認してみるのも良いかもしれません。
「第1回 「決算スライド」にはビジネスのすべてが入っている」を読む
チャートを確認して投資の是非をチェック!
決算の内容をチェックできたら、決算発表の翌日の株価がどうなったかを確認してみましょう。「株価が上昇した」と一言で言っても、業績が素直に好感されたのか、悪材料出尽くしで買われたのかで見方が変わってきます。
また、ここ半年ぐらいの株価チャートを見て、今回の決算が株価のターニングポイントになりそうなのか、それともこれまでの傾向が続きそうなのかを考えてみることをオススメします。チャートの見方については下記の記事も参考にしてみてください。
トヨタ自動車
日本電信電話
三菱UFJフィナンシャル・グループ
KDDI
ソフトバンクグループ
ソフトバンク
任天堂
三菱商事
東京エレクトロン
武田薬品工業
伊藤忠商事
ダイキン工業
三井物産
リクルートホールディングス
東京海上ホールディングス
HOYA
みずほフィナンシャルグループ
SMC
ゆうちょ銀行
日本郵政
丸紅
パナソニック ホールディングス
住友商事
オリンパス
テルモ
富士フイルムホールディングス
オリックス
日本製鉄
京セラ