大阪でカジノ実現へ  「統合型リゾート」関連株が上昇

直近の値動きから見るテーマ株/ QUICK

株式市場で「統合型リゾート」関連銘柄が買われています。QUICKが選定する関連銘柄の平均上昇率は4.2%と、米著名投資家が日本株への投資を拡大する考えを示したのを好感し上昇した東証株価指数(TOPIX、2.7%上昇)を上回りました(4月14日までの5営業日の騰落)。株価が上昇した5銘柄とその背景について解説します!

「政府が大阪府・市の計画を認定する方向」と伝わる

統合型リゾート関連株が買われたきっかけは、「統合型リゾート」実現に向けた政府の動きに関する報道でした。4月12日、「カジノを中心とした統合型リゾート施設(IR)の開設に向け、大阪府・市が提出した整備計画を政府が認定する方向で最終調整している」と一部で報道されました。

その後、4月14日、政府は大阪の区域整備計画を正式に認定。岸田首相は大阪のIRについて、「2025年の大阪・関西万博開催後の関西圏の発展や、我が国の成長に寄与するとともに、観光拠点となることが期待される」等々述べています。大阪府などは、開業時期を「2029年秋~冬頃」とし、初期投資額を約1兆800億円、年間売上高を約5200億円と見込んでいます。実現すれば日本初のカジノ併設施設となるため、関連銘柄を物色する動きが広がりました。

カジノ向けモバイルアプリを提供【テックファームホールディングス】

上昇率首位のテックファームホールディングスはシステムコンサルティングやシステム開発を主力としています。カジノ関連では、グループ会社のプリズム・ソリューションズがプレーヤーとカジノ間のクレジット送金を管理できるモバイルアプリを提供しています。クーポンやプロモーションもアプリで受け取ることができ、利用者は現金を持つことなくリゾート内で過ごすことができます。

グループでIR事業を展開【ユニバーサルエンターテインメント】

上昇率2位のユニバーサルエンターテインメントはパチスロ機など遊技機が主力です。グループではフィリピンの首都マニラでIR施設「オカダ・マニラ」を運営しています。2022年12月期決算ではIR事業の売上高が717億円と、遊技機事業(682億円)を上回りました。

今後は免許審査、差別化や競争力が焦点に

このほか、遊技場機器を手掛けるオーイズミは、高速メダル計数機や研磨機、自動補給回収システムなどを展開。貨幣処理機器大手の日本金銭機械は、カジノ業界の金銭処理のパイオニアとして業界をけん引。藤商事は遊技機(パチンコ・パチスロ機)の開発や製造、販売を展開。これらの銘柄も買われています。

IRの開業に向けてはIR整備法に基づいてカジノ免許の審査などが待っています。予定通りに開業できるかに加え、開業後はIRで先行する他国との競争も予想されます。カジノ事業を収益につなげられる銘柄を見極めて投資したいですね。