今の社会動向や投資環境をもとにホットな銘柄を選定している「日興ストラテジー・セレクション」。4月号の採用銘柄は大手化粧品メーカーの「資生堂」です! 早速、資生堂の投資ポイントをチェックして、これからの銘柄選びの参考にしてみましょう。
マスク緩和で、スキンケア需要の高まりに注目「資生堂」
コロナ禍によるマスク着用義務が緩和され、長かったマスク生活に終わりを告げようとしている方もいるのではないでしょうか。マスク着用による息苦しさや、「蒸れ」「かぶれ」といった肌への負担を感じていた方は、マスクなしの生活を待ち望んでいたことでしょう。
一方で、マスクをしなくてもよくなると、マスクで隠れていた部分のケアが気になるという方もいるかもしれません。化粧水や美容液を買い求める人が増えそうな今後、注目したいのが国内最大手の化粧品メーカーである「 資生堂 」です。
世界で戦うグローバルビューティーカンパニー
1872年に日本で初めての民間洋風調剤薬局として創業した資生堂。1916年に化粧品部門を独立させて、本格的に化粧品事業へと転換しました。100年以上にわたる皮膚および製剤化技術の研究結果を活用し、グローバル市場に適した処方開発をしています。今では化粧品メーカーとして国内最大手であり、かつ世界でも5位と名高いブランド力を持つグローバルビューティーカンパニーとなっています。
とくに、同社が強みとしているスキンケアを中心とするスキンビューティー領域では、世界の化粧品会社のなかでもトップクラスのノウハウ・知見を有しています。スキンケア領域ブランドは売上高の70%超を占めており(2022年12月期時点)、2030年には同領域で世界一を目指しています。
中長期的な美容市場の成長に加え、中国市場拡大が追い風に
美容市場は経済成長と高い相関関係があり、人口が増え、一人当たりのGDPが成長すれば確実に大きくなる市場です。コロナ禍では世界的な行動制限やマスク着用の一般化、それに伴う消費低迷により、売上高が減少しました。しかし、世界的に見れば人口増加、国内ではシニアの生涯現役需要の高まりなど、市場拡大要因は多々あります。実際、コロナ禍の消費低迷時期を除けば世界の美容市場はおおむね拡大基調をたどっており、2023年以降も世界的な経済活動正常化の進展とともに中長期的な市場成長が予想されます。
海外売上高比率の高い同社はこの波に乗り、継続的な業績拡大が期待できます。
特に巨大マーケットである中国では、ゼロコロナ政策によって家計の余剰貯蓄は大きく積みあがり、経済活動正常化に伴うリベンジ消費の余地は大きいと考えられます。同社はこれまでも中国市場を最重要地域と位置付け、順調に売上高を伸ばしてきましたが、目先は個人消費の回復に大きな期待がかかります。
中長期的にも、中国市場を拡大させることが業績への追い風となるでしょう。
2025年12月期に向けて、高収益構造への転換を図る
2022年12月期の業績は、売上高1兆674億円(前期比5.7%増)、コア営業利益は513億円(同20.6%増)となりました。中国市場は断続的なロックダウンなどによって売上高減少となりましたが、欧米やトラベルリテール(免税店などの旅行者向け販売)事業の成長が牽引しました。また、機動的なコストマネジメントの推進や、構造改革を通じた固定費削減の推進等が貢献しています。
当決算と同時に発表した中期経営戦略(2023年12月期~2025年12月期)によると、コア営業利益率を2022年12月期の4.8%から12%へ、ROE(自己資本利益率)は6%から14%へと改善する目標を立てています。このように同社は、高収益構造への転換を進めています。
この目標達成に向け、同社は日本事業の収益基盤の再構築、中国事業の成長強化、世界No.1のビューティーマーケットである米州を次なる成長の軸としての基盤構築を掲げています。具体的には、市場に応じたスキンケア商品の投入・拡大、DX(デジタルトランスフォーメーション)強化などを図る方針です。
足元では国内でのマスク着用ルールの緩和による化粧品需要回復の加速、中国に対する水際対策緩和によるインバウンド消費拡大の期待など、短期的な株価材料も目白押しです。
肌を極めて世界で強い存在感を放つ
国内最大手の化粧品メーカー「資生堂」。スキンビューティー領域の研究・ノウハウを強みに世界でも5位の名高いブランド力を持つグローバル企業です。世界の美容市場は人口の増大や経済成長を背景に中長期的な拡大が見込まれています。2025年12月期に向け高収益構造への転換を進めるとともに、2030年にはスキンビューティー領域で世界一を目指し邁進する同社の活躍を応援していきたいですね。