ハイクラス転職とDX推進で中長期的に成長 ビジョナル

ここが狙い目! 日興ストラテジー・セレクション/ 日興フロッギー編集部岡田 丈

今の社会動向や投資環境をもとにホットな銘柄を選定している「日興ストラテジー・セレクション」。2月号の採用銘柄はプロフェッショナル人材の採用支援に強みを持つ「ビジョナル」です! 早速、ビジョナルの投資ポイントをチェックして、これからの銘柄選びの参考にしてみましょう。

国内最大級のハイクラス転職サイトを運営「ビジョナル」

歴史的な物価高の状況となっている昨今、賃金引上げを求める人は多いはず。賃上げは労働者の生活のためにも、経済活性化のためにも大切です。

ただ、賃上げの実現には企業の生産性向上や持続的な成長が必要です。政府はリスキリング(Reskilling。学び直し)やDX人材育成に前向きな姿勢を示し、大企業の中には、優秀な若手や専門人材確保に向けた積極的な賃上げをアピールする企業も出てきています。この流れのなか、活躍に期待がかかるのが今回仲間入りした「 ビジョナル 」です。

プロフェッショナル人材の採用支援に強み

ビジョナルは、会員制転職プラットフォーム「BizReach(ビズリーチ)」や人材管理のクラウドサービス「ハーモス」など、インターネットを使った人材採用サービスをはじめ、DXを推進する事業を展開している企業です。

このうち同社売上の8割以上を占めるビズリーチは、管理職経験者や専門職などの厳選された即戦力人材、国内外の優良企業、一流ヘッドハンターを効率的にマッチングさせることに強みを持つ転職サイトです。ヘッドハンターが仲介する従来の仕組みとは異なり、「求職者」「ヘッドハンター(人材紹介会社)」「採用企業」の三者が直接交渉できる「ダイレクトリクルーティングプラットフォーム」という仕組みをとっています。

求職者には他の転職サイトでは出会えない希少かつ高収入な求人と出会えるといった高いメリットがあります。

ビズリーチのビジネスモデルは同社にとっても高いメリットがあります。会員制であるため、利用者からは課金売上、採用企業・ヘッドハンターからは採用成功報酬を受け取れます。

人材確保ニーズの高まりで同社に追い風

国内の雇用市場では、2020年10月以降、有効求人倍率が持ち直す動きが続いています。一方で、雇用人員判断DI(企業の雇用過不足の度合いを示す)は製造業・非製造業ともに悪化の傾向です。

経済活動の担い手となる生産年齢人口が構造的に減少しているため、今後も人手不足は深刻化するばかり。企業の人材確保ニーズは、これからも強いと想定されます。

そのような中、政府の労働市場改革に向けた取り組みにも注目です。日本は海外主要国に比べ、転職や再就職、職種転換といった労働移動が緩やかな傾向ですが、OECD23ヵ国のパネルデータによると労働移動が円滑である国ほど生涯における賃金の上昇率が高いという研究結果があります。高スキル人材の賃上げは将来的な日本の労働生産性向上の契機となることが期待され、6月までにリスキリングや賃金のあり方(年功序列から職務給への移行など)を含む「労働移動円滑化に向けた方針」を取りまとめる方針です。こうした流れから、人材関連会社のなかでもプロフェッショナル分野での採用支援に強い同社への追い風が強まっています。

人材分野とDX推進サービスで利益続伸を見込む

創業事業として2009年にビズリーチを開始して以来、順調に企業・ヘッドハンター・会員数のすべてにおいて利用者を増やしている同社。同事業の営業利益率※は46.8%(2022年7月期時点)と収益性が高く、グループ全体の業績をけん引しています。

※営業利益率は管理部門経費配賦前ベース

2023年7月期第1四半期(8~10月)決算では、グループ全体での営業利益が約37億円(前年同期比46.0%増)と好調な滑り出し。人件費や広告宣伝費などのコスト増はありますが、プロフェッショナル人材への強い採用ニーズは継続するとみており、2023年7月期通期での営業利益は125億円(50.9%増)と大幅増益を見込んでいます(会社予想)。

また、岸田内閣が掲げる「新しい資本主義」は人材投資やDX促進がカギを握ります。同社は人材分野に止まらず、法人・審査制M&Aマッチングサイトや物流DXプラットフォームなど、さまざまな産業のDXを推進する新規事業も生み出しています。人材分野とDX推進サービスで日本の課題解決に貢献し、中長期的な成長も見込めそうですね。

日本の雇用市場を強く、豊かにするサービスを提供!

プロフェッショナル人材の採用支援に強みを持つ「ビジョナル」。人材確保ニーズの高まりもあり、同社の顧客基盤と業績は堅調に成長しています。政府の労働市場改革や新しい資本主義の実現、企業の積極的な高スキル人材の確保など、同社に吹く追い風は強まるばかり。人材分野「ビズリーチ」とDX推進サービスの両輪で活躍を続ける同社から目が離せません。

今月号では、リクルートHD(6098)を除外しました。人材関連業界の中長期的な成長見通しに変更はありませんが、①売上高の3割近くを占める(2022年3月期)米国事業について、米景気後退リスクが高まっていること、②雇用市場の中でも、とりわけ専門性の高い人材の人手不足が顕著であることを考慮しました。