株式市場で「地方銀行」関連銘柄が買われています。QUICKが選定する関連銘柄の平均上昇率は8.3%と、米連邦準備理事会(FRB)の利上げペース鈍化観測などから上昇した東証株価指数(TOPIX、2.6%上昇)を大きく上回りました(11月25日までの5営業日の騰落)。株価が上昇した背景や銘柄などを紹介します!
NTTデータ「統合バンキングクラウド」の検討開始
地方銀行関連株が買われるきっかけになったのは、基幹システムを統合する動きに関する報道でした。11月18日、「 NTTデータ 」は、「統合バンキングクラウド」の提供に向けた検討開始を発表しました。2028年以降、「 京都銀行 」や横浜銀行(「 コンコルディアFG 」傘下)などが使う基幹システムについて、段階的にクラウド技術を使った新しいシステムに切り替えていく方針です。
NTTデータによると、今回の取り組みによって、システムの効率的な運用、金融機関の管理負担の軽減、本業など競争領域への経営資源の集中などが可能になるとしています。地方銀行の収益力の強化の他、システム共通化による業界再編も手掛かりとなっているようです。
「地銀共同センター」に参加【千葉興業銀行】
上昇率首位の「 千葉興業銀行 」は千葉県内に72店、東京都内に2店などを展開。NTTデータが構築・運営する地方銀行・第二地方銀行向け基幹系共同センターである「地銀共同センター」に参加する地方銀行の1行です。なお、11月17日に、アリアケ・マスター・ファンド(地方銀行への投資に特化したありあけキャピタルが運用)が、大量保有報告書で同行の株式を取得したことを発表したことも材料視されたようです。
地方銀行は中期的にも注目材料豊富
そのほか、富山県地盤でインターネット支店を含む66店舗を展開する「 富山第一銀行 」、栃木県が地盤で86店舗を運営する「 栃木銀行 」、2018年5月の東京都民銀行と八千代銀行、新銀行東京の合併に伴い誕生したきらぼし銀行を傘下に持つ「 きらぼしフィナンシャルグループ 」、千葉県が地盤で120店などを展開する「 京葉銀行 」も買われています。
統合バンキングクラウドの実現は早くても2028年ごろとまだ先と見込まれる中、足元では、株式取得など需給要因も株価を押し上げているようです。とは言うものの、システム統合の他、今後は低金利政策転換による利ザヤの改善などもテーマとして浮上してくる可能性もあり、地方銀行は中期的にも注目されます。