株式市場で「建設機械」関連銘柄が買われています。QUICKが選定する関連銘柄の平均上昇率は1.7%と、週末にかけて伸び悩んだ東証株価指数(TOPIX、0.5%上昇)を上回りました(11月4日までの5営業日の騰落)。株価が上昇した5銘柄とその背景について解説します!
アジア、北米で需要回復
建設機械関連株が買われたきっかけは、建機大手の決算発表ですが、好調な決算の背景には、アジアや北米での需要回復が挙げられます。新型コロナウイルスの感染拡大で、停滞していた経済活動が世界的に再開。また、日本や米国などで老朽化した道路などのインフラ工事も復調し始めています。ロシアのウクライナ侵攻によるエネルギー需給のひっ迫で、鉱山の開発も活発です。こうしたことから、世界的に建設機械や鉱山機械の需要が回復していることに加え、日本企業には、急激な円安で収益が押し上げられるという追い風も吹いています。
販売価格の改善が進む【小松製作所】
上昇率首位の「 小松製作所 」は10月31日に2022年4〜9月期連結決算を発表。建設機械・車両が主力の北米と中南米を含む米州や、中国を除くアジア・オセアニアで伸びたほか、円安も収益を押し上げました。供給網の改善が見込まれることに加え、販売価格の改善が進んでいることから、2023年3月期の通期連結業績予想を上方修正しています。
建機の電動化・自動化を推進【川崎重工業】
上昇率2位の「 川崎重工業 」は、建設機械の需要回復が中国以外の地域で継続。電動化や自動化に対応した最新型の油圧機器・システムの開発・供給で、顧客の将来の建機開発を支援していく方針です。
米景気の先行きには注視
そのほか、「 ラサ工業 」は、地下を掘り進む掘進機など都市インフラを支える土木機械を展開。「 酒井重工業 」は、国内外のインフラ整備計画を追い風に、中期的な成長を志向。「 日立建機 」は、2022年4〜9月期決算で主力の北米やオセアニアなどの地域が好調と発表し、2023年3月期の通期連結業績予想を上方修正しました。
海外企業にも目を向けると、米キャタピラーの2022年7〜9月期決算も好調でした。鉱山機械が、アジア太平洋や主力の北米で伸びたことなどが追い風になったようです。一方、主要市場の一つである北米では、インフレ鎮静化に向けた大幅な利上げが継続中で、住宅建設には減速の兆しも出ています。米景気の先行きが建機各社の収益に与える影響をしっかり見極めたいですね。