32年ぶりの円安もなんのその! 「高進捗率」銘柄に注目

カエル先生の株式相場プレイバック/ 日興フロッギー編集部平松 慶

マーケットの「温度感」がわかる連載「カエル先生のマーケットハイライト」。今回は、一足早く中間決算発表を終えた2023年2月期決算企業から、営業利益進捗率の高い銘柄について解説します!

カエル先生の一言

今月も米国の金融政策を巡る動きに翻弄された日本株市場。日米の金利差から、ドル円は32年ぶりの円安水準となる場面もありました。そのような中で、着々と進む国内企業の中間決算について、確認していきましょう。

一進一退の上値が重い展開が続く

10月31日の日経平均株価は2万7587円となり、前月末比1650円高でした。

米国の長期金利の上昇に一服感が出てきたことから、10月4日の日経平均は一時700円以上値上がりし、約6ヵ月ぶりの上昇率となりました。ところが13日に発表された米国の9月のCPI(消費者物価指数)は市場予想を上回り、大幅な利上げ継続への警戒感がくすぶり続ける結果となりました。

引き続き日米の金利差を見込んだ円売り・ドル買いが進み、21日にはニューヨーク外国為替市場でドル円が一時151円台に突入、32年ぶりの円安水準となりました。その後は144円台まで円が買われる場面があり、政府・日銀が円買い介入に動いたのではないかとの見方が広がりました。報道によると、今回は9月介入時の金額を大幅に上回り、過去最大となる5.5兆円規模の介入であると推計されています。

「金利」と「量」の二重の引き締めに注意

米国の金融政策を巡り、マーケットは波乱の展開が続いていますが、注意すべきは「金利」だけではありません。

コロナ禍でダメージを受けた経済を支えるため、FRB(米連邦準備理事会)は、これまで国債や住宅ローン担保証券を購入し、市場にマネーを供給することで景気や物価を下支えしてきました。ところが、急速なインフレが進み、金融引き締め策を講じる必要が出てきたことで、利上げに続き、2022年5月には「量的引き締め」の実施を決定しました。

6月からは、償還を迎えた国債などの再投資をやめる形で、徐々に保有資産の圧縮をスタート。さらに9月からは「量的引き締め」のペースを2倍に速める動きが出てきています。潤沢なマネーがFRBに回収されると、株式などのリスク資産には逆風となりそうです。

カエル先生の一言

金融引き締めは、大きく分けて2つの方法があります。1つは、今マーケットの関心が高まっている「政策金利の引き上げ」。もう1つは、中央銀行が保有する「資産の圧縮」です。いずれも景気の過熱やインフレを抑制するための政策です。金利の動きだけが注目されがちですが、資産の圧縮ペースについても注目してみましょう。

2月決算企業の業績をチェック!

外部環境が見通しにくい状況のなか、国内では中間決算の発表が進み、アフターコロナに向けて堅調に業績を伸ばす企業が出てきています。今回は、一足早く決算発表を終えた2月期決算企業から、業績の進捗率が高い銘柄をいくつかご紹介します。

貸会議室や宿泊事業を手がける「 ティーケーピー 」は、コロナ禍の影響が落ち着き、需要が回復。「チャオパニック」や「3COINS」など、40以上の衣料・雑貨ブランドを手がける「 パルグループHD 」も個人消費が回復したことで、大幅な増収増益となりました。


10月11日からは「全国旅行支援」が始まり、鉄道やホテル、旅行など観光関連の株価も堅調に推移しています。また水際対策が緩和され、円安も一段と進んでいることから、訪日外国人の購買力にも期待が持てそうです。底堅い業績の推移が見込まれる企業に注目してみると良いかもしれませんね。

あさひ
薬王堂HD
サンデー
クリーク・アンド・リバー社
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