観光需要とインバウンド回復期待 「旅行」関連株が上昇

直近の値動きから見るテーマ株/ QUICK

株式市場で「旅行」関連銘柄が買われています。QUICKが選定する関連銘柄の平均上昇率は4.6%と、短期的な戻り期待から上昇した東証株価指数(TOPIX、3.9%上昇)を上回りました(10月7日までの5営業日の騰落)。株価が上昇した5銘柄とその背景について解説します!

10月11日から全国旅行支援開始、水際対策の大幅緩和も 

10月11日から、「全国旅行支援」が始まりました。期間は12月下旬まで、旅行代金の割引率は40%、上限額の範囲内で補助されます。割引額が最大になる組み合わせは平日に鉄道やバス、飛行機などの公共交通機関の利用とセットになった旅行商品を利用した場合で合計1万1000円となります。

10月11日には、訪日外国人に対する水際対策も大幅に緩和。入国者数の上限を撤廃したうえ、個人の外国人旅行客の入国も解禁されました。全国旅行支援による観光需要回復への期待に加え、インバウンドの利用も期待できるとして旅行関連株が物色されています。

旅行支援に合わせてキャンペーン展開【楽天グループ】

上昇率首位の「 楽天グループ 」は、傘下の楽天トラベルが全国旅行支援の開始に合わせてキャンペーンを展開。楽天独自のポイント還元率やクーポン割引率を含め最大60%分がお得になるとして積極的に集客しています。

ユニークな国内ツアー提供【日新】

上昇率2位の「 日新 」は、主な事業は物流ですが旅行事業にも進出しています。出張や赴任といった海外渡航が徐々に戻り旅行事業が回復、また、テーマに沿った講師が同行する「旅座」といったユニークな国内ツアーを展開しています。

今後は業績回復とテーマの鮮度低下のせめぎあいも

そのほか、レストラン検索・予約サイト「食べログ」などを運営する「 カカクコム 」、「Yahoo!トラベル」や予約サイト「一休.com」を通じて旅行事業を手掛ける「 Zホールディングス 」、自社のホームページの特設サイトで全国旅行支援の利用を促進している「 日本航空(JAL) 」も買われています。

本連載『直近の値動きから見るテーマ株』で、「旅行」関連株を取り上げるのは今回で3回目。ここまで、上昇率上位を占める銘柄は局面ごとに交代しており、市場では様々な企業が注目されてきました。今後、需要喚起策の効果などを背景に、関連企業の業績回復に関する報道や発表等が多くなってくることが想定されます。一方、それとともに、「テーマ」としての“新鮮度”や“意外性”は徐々に低下していく可能性があることも念頭においておく必要がありそうです。