信用取引って何? 「両刃の剣」と言われる理由

もっと知りたい!SMBC日興証券でできること/ 日興フロッギー編集部岡田 丈

大きな利益を短期間で得られる可能性もある反面、現物株以上の損失を被る可能性があることから「両刃の剣」とも言われる「信用取引」。リスクが大きいイメージがありますが、通常の株式取引とは何が異なるのでしょうか。レバレッジをかけるってどういうこと? 「売り」から始められるって本当? そんな疑問にお答えします。

信用取引ってなに?

信用取引とは、一定の保証金(委託保証金)を証券会社に担保として預け、最大で保証金の約3.3倍までの取引ができる制度のことです。また、「売り」からの取引もできるので、下落局面でも利益を得ることが可能です。こうしたことにより、様々な相場環境でも投資できるのが大きな特徴です。

たとえば、手元資金が30万円の場合、最大で100万円分の株式を信用取引で「買い建てる」ことができます。

保有株を売らなくても、新たに買える

また、手元の現金が少なくても、すでに持っている株式を信用取引の「担保」として差し入れることで、取引することも可能です。たとえば、A株を100万円持っていて、その株を担保として差し入れる場合、委託保証金として現金10万円だけ用意することで、B株を300万円まで買い付けることができるようになります。

「手元の資金は少ないけど、新しい株を買いたい。でも、保有株は手放したくない」という場面で活躍しそうですね。

カエル先生の一言

証券会社から信用を供与され、お金を借りて株を買ったり、株を借りて売ったりする取引を「信用取引」と言います。借りたお金や借りた株は、期限内に返済しなければなりません。返済されるまでの間、お金を借りて買った株を「買い建玉(かいたてぎょく)」、株を借りて売った株を「売り建玉(うりたてぎょく)」といいます。

ログインして信用取引について詳しく見る

「初級者には難しい」と言われる理由

信用取引については「中上級者でもリスクが大きい」「投資の初級者はやらないほうが良い」といった声がよく聞かれます。なぜそれほどまでに注意が必要な取引と言われているのでしょうか。これは最悪の場合、借金を背負う可能性があるからです。

借金を背負う可能性がある理由は、2つあります。

・高いレバレッジをかけることにより、自己資金を上回る損失のリスクを背負うことになるから
・「売り」から入った場合、株価の上昇が続くと損失の額が無限大となるリスクがあるため
カエル先生の一言

「レバレッジ(Leverage)」とは「てこの原理」という意味です。投資の世界では、借り入れを利用することで、自己資金のリターン(収益)を高める効果が期待できることを指します。ただ、大きなリターンが狙える半面、損失も大きくなる可能性があるので、投資の経験はもちろん、十分な資産管理が求められます。

損失もレバレッジがかかる

1つ目の理由は、レバレッジをかけることができるため、自分がいま持っている資産以上に損失を被(こうむ)るリスクを背負う可能性があるからです。株価が上昇しているときは大きく儲けることができるので、とても力強い味方になってくれます。逆に相場観を見誤ってしまうと、損失が拡大し、自分が持っている資金だけでは埋め合わせができず、「追証」が発生します。そうなると、追加で現金を差し入れるなどして、その追証を解消する必要が出てくるのです。

カエル先生の一言

「追証(おいしょう)」とは「追加保証金」の略称で、委託保証金を追加で差し入れなければならない状態のことです。信用で売買している銘柄に含み損が発生したり、担保にしている株の値下がり等によって、委託保証金維持率(建玉約定代金に対する委託保証金の額の割合)が下がることにより発生します。

委託保証金維持率について詳しく見る

「売り」の損失額は無限大

2つ目の理由は、「売り」から入って株価が上昇し続けると、株価には上限がありませんので、損失の額が無限大になるためです。たとえば、株価が100円の株に対して、株価が下がるだろうという見立てから、1000株=10万円の「売り建玉」を建てるとします。株価が見立て通りに値下がりすれば、その分利益になります。しかし見立てとは反対に株価が3倍になれば20万円の損失が発生し、委託保証金の不足分を現金などで埋めなければなりません(諸費用等は考慮していません)。

現物での取引であれば、損失の最大金額は、投資した額までです。しかし、信用取引ではレバレッジをきかせたり、「売り」から入ることができるため、自己資金以上に損失が膨らむ可能性があるのです。これが借金を背負う可能性についての理由です。想定通りに株価が動けば大きな利益になる反面、逆方向に動いたときは大きな損失がもたらされます。まさに両刃の剣と言えます。

信用取引のメリット

こうしたリスクを踏まえたうえで、どういう条件の元であれば信用取引を利用するメリットがあるのかを見ていきましょう。代表的な事例として3つ挙げられます。

・短期間で利益を得たいとき
・少ない資金で儲けたいとき
・株価が下がると予想しているとき

1つ目は、短期間で利益を得たいときです。2倍、3倍とレバレッジをかけた分だけ、同じ利益を稼ぎ出すための時間を短縮することができます。ある一定の資産額に早く到達したいなど目標のある投資家にとっては、信用取引は有用な手段の1つになりえます。

2つ目は、少ない資金で儲けたいときです。リスクは承知したうえで、それでも元手が少ない場合は、信用取引を活用することで大きな資金を動かすことができます。しかし、元手が少ないということは、それだけ、失敗したときに「退場」(資金が無くなり運用を続けられなくなること)となるリスクも高いことは覚えておかなければなりません。

3つ目は株価が下がると予想しているときです。株式市場には指数が下がると、評価額が上がる仕組みのETFや投資信託などもあります。しかし、一般的には現物株取引では、「売り」から入ることができません。「この株は下がる可能性が高い」と考えてそれを投資で活用した場合には、信用取引を使うのも手段の1つです。

ログインして信用取引について詳しく見る

日興イージートレードの信用取引、ダイレクトコースなら委託手数料が0円

日興イージートレード信用取引は、ダイレクトコースなら株式委託手数料が0円とおトクです。また、信用取引にかかるコスト(買方金利や貸株料など)が安いなどの特長があります。

日興イージートレードの信用取引サービスの特長
特長① ダイレクトコースなら信用取引の株式委託手数料が無料!
特長② 買方金利や貸株料といったコストが安い!
特長③ ダイレクトコースなら一般信用も可能で銘柄数も豊富!

日興イージートレード信用取引の特長について詳しく見る

カエル先生の一言

信用取引を行う際は、現物取引とは異なるコスト(費用)が発生します。主に「金利」「貸株料」「逆日歩(ぎゃくひぶ。品貸料)」などがあります。 「金利(買方金利)」とは、証券会社から資金を借りて株を買った日から返済するまで、借りた金額に対して支払う利息額のことです。

信用取引のコストについて詳しく見る

レバレッジをかけた取引をすることで、大きく儲けることも、また大きな損失を生むこともある信用取引。投資経験が豊富な投資家でも、しっかりとリスク管理をしながら、うまく活用したいですね。