株式市場で「百貨店」関連銘柄が買われています。QUICKが選定する21銘柄の平均上昇率は1.2%と、米金融政策の引き締め姿勢が強まるとの懸念から大幅に続落した東証株価指数(TOPIX、2.5%下落)に対して逆行高となりました(9月2日までの5営業日の騰落)。株価が上昇した5銘柄とその背景について解説します!
9月7日から水際対策が更に緩和
8月31日、岸田文雄首相は、水際対策の更なる緩和を表明しました。9月7日より入国者数の上限を現在の2万人から5万人に引き上げるとともに、全ての国を対象に、添乗員を伴わないパッケージツアーによる入国が可能になります。
インバウンド需要回復の兆しで百貨店に脚光
政府が行動制限を課さなくなったうえ、水際対策も緩和されてきていることなどもあり、百貨店が回復基調にあります。インバウンド需要を示す7月の免税の総売上高は前年同月比で63%増え、購買客数は2.2倍と回復の兆しが出ています。インバウンド需要の回復に弾みがつくとの見方から、百貨店関連銘柄が物色されています。
中国で富裕層を開拓【エイチ・ツー・オー リテイリング】
上昇率首位の「 エイチ・ツー・オー リテイリング 」は、傘下の阪急阪神百貨店が、国内で「阪急百貨店」と「阪神百貨店」を展開。中国の浙江省では百貨店とショッピングセンターの強みを併せ持つ中国初の体験型“デパートメントモール”寧波阪急が営業しています。
ゲストカードでインバウンド客を優遇【三越伊勢丹ホールディングス】
上昇率2位の「 三越伊勢丹ホールディングス 」は、三越や伊勢丹、丸井今井、岩田屋ののれんで国内外で展開。豊富な海外ネットワークを活かし、海外店舗カード会員をはじめとした訪日外国人向けに買い物が優遇される「ゲストカード」を発行しています。
緩やかなインバウンド需要の回復を見込む【松屋】
上昇率3位の「 松屋 」は、銀座と浅草に2店舗を展開する老舗の百貨店。4月に発表した中期経営計画(2022〜2024年度)ではインバウンド需要の緩やかな回復を見込んでいます。
8月の免税売上が急増【高島屋】
上昇率4位の「 高島屋 」は国内外で百貨店を運営しています。9月1日に発表した8月の店頭売上(速報値)は前年同月比23%増、免税売上は2.7倍に膨らみました。
8月の百貨店売上が好調【J.フロント リテイリング】
上昇率5位の「 J.フロント リテイリング 」は大丸、松坂屋ののれんで国内百貨店を展開。9月1日に発表した8月の百貨店事業合計売上高(速報値)は前年同月比27%増と好調でした。
水際対策のさらなる緩和が株価の先行きを左右
百貨店各社の月次売上高によると、政府の水際対策の緩和がインバウンド売上高の回復につながっているのが鮮明です。インバウンド需要の消失を受け、百貨店各社はコストの見直しなど収益改善策を進めており需要回復が収益を押し上げやすくなっています。24年ぶりの円安という追い風が吹いているうちに、政府が水際対策をどこまで緩和するかが百貨店関連株の先行きを左右することになりそうです。