株式市場で「アップルサプライヤー」関連銘柄が買われています。QUICKが選定する28銘柄の平均上昇率は5.3%と、大幅に続伸した東証株価指数(TOPIX、2.4%上昇)を上回りました(6月3日までの5営業日の騰落)。今回は、アップルサプライヤー関連で上昇率が大きい5銘柄をご紹介します!
中国・上海市がロックダウン解除
6月1日、中国・上海市は都市封鎖(ロックダウン)を解除しました。「ゼロコロナ政策」のもと、市民の自宅待機、公共交通機関や商業施設の運休や閉鎖が続いていましたが、2カ月ぶりに通常モードに戻りつつあります
米アップル社の回復期待でサプライヤー企業にも脚光
上海でのロックダウンの影響を大きく受けたのが、製品の大半を台湾企業の中国工場で生産している米アップルです。供給網の混乱や半導体不足などの影響を受けました。
ロックダウンの解除により、アップル社の生産や販売の回復が期待され、それに伴い、同社に部材を提供している「アップルサプライヤー」にも脚光が集まっています。
アップルサプライヤーは、電子部品を手がける企業が大半を占めています。そのうえ、電子部品は、アップルの生産回復への期待に加え、電気自動車(EV)向けに積層セラミックコンデンサ(MLCC)などの需要拡大が続いています。円安が業績の押し上げにつながる企業も多く、物色されています。
超小型MLCCなどに強み!【太陽誘電】
上昇率首位の「 太陽誘電 」は電力の消費・蓄積・放出といった役割をするコンデンサやインダクタなどを供給しています。売上高で最大の3割弱を占める通信機器では、超小型のMLCCがハイエンドスマートフォンなら1,300個搭載されるほか、直流電力のみを通すインダクタやモバイル通信用デバイスなどが伸びています。
会社側は、2023年3月期の売上高を前期比10%増の3850億円、営業利益は3%増の700億円と見込んでいます。ロックダウンの影響でモバイル通信用デバイスは苦戦しますが、自動車や情報インフラ、産業機器向けにコンデンサが伸びるとみています。
MLCCに加えリチウムイオン電池も!【TDK】
上昇率2位の「 TDK 」はリチウムイオン二次電池など「エナジー応用製品」が売上高の5割強を占めています。小型・薄型化に対応でき、高速通信規格「5G」スマートフォン用の二次電池としても活躍しています。MLCCにも強みを持っており、自動車向けの売上高が好調に推移しています。
会社側は、2023年3月期の売上高を前期比16%増の2兆2000億円、営業利益は11%増の1850億円と予想しています。受動部品がEV向けに伸びるほか、5G対応のスマートフォン向けも大きく伸びる見通しです。
EVなども追い風に!電子部品の需要拡大に期待
そのほかにも、「 ミネベアミツミ 」はアナログ半導体やボールベアリングの増加などで2023年3月期の売上高を前期比7%増の1兆2000億円、営業利益は11%増の1020億円と予想。「 村田製作所 」も自動車の電装化などを追い風に、2023年3月期の売上高を前期比7%増の1兆9300億円、営業利益は4%増の4400億円と見込んでいます。
太陽誘電、TDK、ミネベアミツミ、村田製作所は、いずれも2023年3月期営業利益が過去最高を更新すると会社側が見込むなど業績は好調です。上海のロックダウン解除で、米アップルの生産・販売回復が期待され、「アップルサプライヤー」として焦点が集まりましたが、好業績に加え、自動車の電装化やEVの普及による用途多様化や需要の増加が期待され、今後も折に触れ注目されそうです。