世界中に愛される作品で営業最高益! 東映アニメーション

ここが狙い目! 日興ストラテジー・セレクション/ 日興フロッギー編集部岡田 丈

今の社会動向や投資環境をもとにホットな銘柄を毎月選定している「日興ストラテジー・セレクション」。3月号では日本アニメ界のパイオニア「東映アニメーション」が新たに仲間入りしました!  早速、東映アニメーションの投資ポイントをチェックして、これからの銘柄選びの参考にしてみましょう。

日本アニメ界のパイオニア「東映アニメーション」

「ドラゴンボール」「ワンピース」「プリキュア」。みなさん、見たり聞いたりしたことがあるのではないでしょうか。これらのアニメーション版を製作したのは「 東映アニメーション 」です。

同社は1958年に日本初の劇場用フルカラー長編アニメ「白蛇伝」を製作したことを皮切りに、1963年には同じく日本初となるテレビ用オリジナルアニメ「狼少年ケン」を製作。日本アニメ界のパイオニアとして、半世紀以上に渡りアニメ製作の第一線で活躍しています。

世代を超えて愛される「超」有名作品を保有

映像の製作や販売を事業の柱とする同社ですが、版権事業(著作権などを利用した事業)や商品販売なども展開しています。最近では版権事業の売上が増大しており、2021年3月期の事業別売上高構成比では版権事業が56.1%と最も高くなりました。

これは同社が世代を超えて知名度・人気ともに高いIP(映像・キャラクターの著作権や商標権等の知的財産権)を多数保有していることが背景にあります。例えば「ドラゴンボール」や「ワンピース」「プリキュア」「美少女戦士セーラームーン」など「超」がつくほど有名なアニメ作品を多く保有しているのです。

また、親子2世代・3世代に渡って人気が長期化することを狙い、IPを育成し運営していることも版権事業の拡大につながっています。「ドラゴンボール」は1986年のアニメ初回放送から約35年も経つ現在でも多くの根強いファンを持ち、「ワンピース」は昨年11月にアニメ放送話数が1000話を超えました。

中小のアニメ製作会社がひしめくなか、同社は規模や歴史に加え、多くの有力コンテンツや豊富な資金力を背景に、ますます競争優位性が高まっていくと考えられます。

海外事業は過去最高の売上を記録!

日本動画協会によると、2020年は新型コロナウイルス感染拡大等の影響を受け、日本のアニメ産業の国内外市場は2兆4261億円と前年比3.5%減と11年ぶりに落ち込みました。しかし、海外市場は前年比3.2%増の1兆2394億円と好調です。

いまや日本アニメは日本の文化を代表するもののひとつと言われるほどですが、創業間もない頃から積極的に海外展開を行っている同社の貢献も大きいでしょう。

海外市場の好調に伴い、2021年3月期は海外事業で過去最高の売上を記録しました。背景には、映像配信権の販売や、欧米での「ドラゴンボール」、アジアでの「スラムダンク」等のアプリゲーム化の権利販売が好調に推移したことなどが挙げられます。

さらには、欧米や中国における「ドラゴンボール」や「ワンピース」等の商品化権およびゲーム化権の好調な販売などにより、今年1月に行った2022年3月期第3四半期決算発表時に、通期会社予想を上方修正しています。売上高は551億円(前年同期比6.8%増)、営業利益は168億円(8.4%増)と、2期ぶりの過去最高益更新の見込みです。

世界に冠たる「東映アニメーションブランド」の確立を目指す

2023年3月期には、前作の全世界興行収入が100億円超となった「ワンピース」の他、「ドラゴンボール」「スラムダンク」など人気作品の新作映画の公開が予定されています。これを受け、市場予想は売上高615億円、営業利益193億円と売上・利益ともに連続過去最高更新を見込んでいます。

中長期的にも期待できる材料が豊富です。新規IP創出数の増強、IPライフサイクルの長期化に加え、ハリウッドビジネスへの参入、中国およびアジア市場開拓の推進といった事業・地域の拡張などさらなる成長に向けた取り組みをしています。アニメ産業市場の牽引役が国内から海外へと移りつつあるなか、世界的なIP創出企業として邁進する同社から目が離せません。

世界中の人々に「夢」と「希望」を発信

半世紀以上にわたり、日本アニメ界の第一線で活躍を続けている「東映アニメーション」。子どもから大人まで楽しめる日本アニメへのニーズ拡大を背景に、国内・海外で順調に売上を伸ばしています。今後も新規IP創出数の増強やIPライフサイクルの長期化など、さらなる成長へ向け取り組んでいます。アニメを通じて世界中に夢と希望を発信し続ける同社を応援したいですね。