ウクライナ侵攻はなぜ起きた? 2014年相場から読み解く

カエル先生の株式相場プレイバック/ 日興フロッギー編集部平松 慶

マーケットの「温度感」がわかる連載「カエル先生のマーケットハイライト」。今回は日本株市場も大きな影響を受けている「ウクライナ危機」の背景と、今後の投資アイデアについて解説します!

カエル先生の一言

ロシアによるウクライナへの侵攻は、原油価格や株式マーケットを大きく動かす引き金となりました。実はこの問題は2014年の「危機」と同じ構図で起きており、今回も少し参考になりそうです。ウクライナ危機の背景と、足元の投資アイデアを探っていきましょう。

2月は「ウクライナ危機」でリスクオフ

2月28日の日経平均株価は2万6526円となり、前月末比475円安でした。
米国の利上げに対する懸念を織り込み、2月上旬は底堅い動きとなった日本株市場。しかし、ロシアがウクライナ国境付近で軍事活動を活発化させるにつれ、徐々にリスクオフムード(投資家がリスクを回避のため、より安全な資産に資金が向かいやすい状況)が強まりました。2月24日にはついにロシア軍がウクライナに侵攻したことで、日経平均が急落する場面もありました。

「危機」の構図は2014年と同じ

ロシアによるウクライナの侵攻は2014年の「クリミア危機」とほぼ同じ構図です。

もともとソビエト連邦の一部だったウクライナは、1991年のソ連崩壊とともに独立国家となりました。そのため、ウクライナ国内では親EU派と親ロシア派の2つに勢力が分かれており、政権争いでもたびたび対立を鮮明にさせていました。

そんな中、2014年のクリミア半島で起きたのが「クリミア危機」です。2014年2月に親ロシア派政権が倒れ、親EU派の政権が誕生。それに不満を抱いた人たちが、クリミア地方で独立を宣言し、ロシアが一方的にそれを認めたのです。

足元でもウクライナの親ロシア派が、東部の一部地域で独立を宣言。それをロシアが一方的に認めました。ウクライナをNATO側に行かせたくないプーチン大統領と、軍事力によるロシアの勢力拡大を避けたい欧米。つまり2014年の時とほぼ同じ構図で「危機」が起こっているのです。

ロシアにとってウクライナは要所

ロシアにとってウクライナは、もともと旧ソ連の一部だったというだけでなく、穀物資源が豊富なうえに、かつ軍事的にも要所であると言えます。ウクライナがもしEUに加盟して、NATO(北大西洋条約機構)入りするとなれば、欧米諸国を中心としたNATO軍がモスクワのすぐ近くに滞在する可能性が生じます。それはロシアとしてはなんとしても避けたいところです。

2014年の危機から予想される「ロシア経済の停滞」

2014年のクリミア危機の際は、欧米の経済制裁によって、ロシア経済は停滞を余儀なくされました。その影響で原油のニーズが減少し、原油価格が下落。日本や米国の株価は上昇していましたが、ロシアの株価は下落トレンドをたどっていました。


今回も日米欧がそろって債券や株式の取引制限やハイテク製品の輸出規制や、金融資産の差し押さえなど厳しい経済制裁を早くも打ち出しています。2014年と同じように、目先はロシア経済にとって厳しい環境が続きそうです。

過度に悲観的になる必要はない

新型コロナウイルスの世界的流行や、米国の金融政策が引き締め方向にあるなど、2014年と2022年では相場環境が異なります。ただ、当時と国家間の状況などに相似点があることから、参考になる部分は大きいと言えます。ロシア以外の株式市場への影響は軽微にとどまる可能性があり、過度に悲観的になることはないと考えられます。

こんなときはどんな投資アイデアがあるの?

このような状況を踏まえ、ロシア以外の地域のインデックス型投資信託つみたて投資と、国内で足元の決算の進捗率が高い銘柄への投資に着目してみました。

日興フロッギー編集部としては、成長企業が多く集まる米国の株式インデックスETFや、先進国・世界中に分散することができるインデックスETFのつみたて投資がオススメです。株価が下がったタイミングでは、ドルコスト平均法によって多くの口数を買うことができますよ。一時の下落に惑わされて解約せずに、つみたてを継続することが大切です。

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国内の個別株では、すでに足元の業績が会社予想よりも上回って進捗していて、3月末の決算でも下振れリスクが少ないと思われる企業への投資が1つのアイデアになるかもしれません。参考にしてみてください。

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