自動車のEV(電気自動車)化が進むとともに、タイヤの高性能化も要求されるようになってきました。技術力の高いタイヤメーカーにとっては大きなビジネスチャンスとなります。そこで今回はEV化による需要で注目されるタイヤメーカーをご紹介します。
タイヤメーカーへの「逆風」は弱まりつつある
タイヤメーカーを巡っては、タイヤの原料となる原油や天然ゴムなどの価格の上昇がコストの増加要因となっていましたが、天然ゴム価格は昨年12月にピークアウト。足元では、原油相場にも上昇一服感がみられます。
また、コロナの影響で半導体の生産が停滞し供給が不足したことで、タイヤが使われる自動車業界では世界的に新車販売の不振が続いています。しかし、タイヤの需要は新車向けだけでなく、補修向け(パンクや摩耗等)需要もあり、国内各社の今期の業績は総じて好調です。
EV用タイヤには高い技術が求められる
燃費(電力消費)やノイズ、摩耗などの点で、EV用タイヤに求められる性能はガソリン車とは異なります。
例えば、EV車はエンジン音がなくなるので、タイヤのノイズが気になりやすくなります。またEV車はガソリン車などに比べ、ブレーキを踏んだ時のタイヤ摩耗の負担が大きくなる可能性があります。
こうしたことから、EV化が進むと、従来以上にタイヤの重要性が増すことになります。つまり技術力の高いメーカーにとっては、大きなビジネスチャンスとなると考えられます。
ブリヂストンによれば、欧州において人気EV上位10車種の半数へ同社のタイヤが選ばれています(新車装着率。2021年1−7月、同社推定)。また、住友ゴムのダンロップはレクサス初の市販用EVモデルの新車装着用タイヤに採用されています。
短・中期では新車販売の回復、長期ではEV化による新規需要が期待されるタイヤメーカーに注目してみてはいかがでしょうか。