医療・介護人材市場で高成長が続く! エス・エム・エス

ここが狙い目! 日興ストラテジー・セレクション/ 日興フロッギー編集部岡田 丈

今の社会動向や投資環境をもとに旬な銘柄を毎月選定している「日興ストラテジー・セレクション」。12月号では医療・介護分野の人材紹介事業等を展開する「エス・エム・エス」が新規に選定されました! 早速、エス・エム・エスの投資ポイントをチェックしてみましょう。

長寿社会に対応する情報インフラを構築「エス・エム・エス」

長年にわたり世界最高の長寿国を誇る日本。WHO(世界保健機関)が2021年5月に発表した世界保健統計でも、日本人の平均寿命は84.3歳と世界トップとなっています。

長寿は喜ばしいことですが、急速な少子高齢化と人口減少が同時に進行している日本社会では、数々の課題も生じています。

そのひとつが医療・介護のニーズ拡大と担い手の減少といった需給のズレ。この重要な課題解決を目指して活動している企業が、今回仲間入りした「 エス・エム・エス 」です。

医療・介護分野の人材市場におけるトップランナー

エス・エム・エスは、2003年にケアプランの作成やサービス事業者との調整などを行うケアマネジャー向けの人材紹介事業「ケア人材バンク」を創設しました。

これを皮切りに、ヘルスケア・医療・介護・シニアライフの4つの領域で、人材紹介や求人情報、経営支援プラットフォーム、保健指導サービスなどのビジネスを次々に展開しています。

なかでも主力としているのが、売上全体の65.8%(2021年3月期時点)を占める医療と介護分野でのキャリア事業です。

医療分野では、主に看護師等を対象とした人材紹介を行っていて、全国に8000強ある病院のうち7割程度が取引先です。同社は看護師人材紹介市場で25~30%程度のシェアを占め、業界トップを誇っています。

また介護分野では、介護職向け求人情報、人材紹介、資格取得スクール運営などを行っています。同社の転職サービスは7割近くの介護職の転職者に利用されていて、介護人材市場においても競合他社を大きく引き離しています。
長寿化に伴い、医療・介護分野における求人需要はさらなる拡大が見込まれています。医療・介護分野の人材市場におけるトップランナーである同社のビジネスも、成長が続くと考えられます。

介護事業者事業シェア拡大のカギを握る「カイポケ」に注目

人材紹介事業とともに、今後のシェア拡大に期待がかかるのが介護事業者事業です。

介護事業者にとっては、より良い人材確保はもちろんのこと、長期にわたり働いてもらえる職場づくりや、要介護者や家族の安心のための良質な介護サービス提供が何よりの経営課題です。そのためには業務効率の向上や経営改善が必要です。

同社は介護事業者が抱えるこれらの課題解決に向けて、介護事業者向けのサブスクリプション型経営支援プラットフォーム「カイポケ」を提供しています。

カイポケでは、介護事業の運営に不可欠な保険請求に加え、業務・採用・購買・金融・営業・M&A支援など40種類以上のサービスをワンストップで利用可能としています。

保険請求のみが多い競合他社の製品に比べてカイポケは利便性が高く、順調に会員数を増やしています。

しかしながら、その数は3万3100事業所(2021年10月1日時点)と、現状シェアはまだ20%に満たない状況です。シェア拡大余地はまだまだ大きく、今後の展開に注目です。

創業以来17期連続の営業増益を達成!

急速に進行する高齢化社会の課題への取り組みをビジネスの柱とする同社。増え続ける需要と同社のビジネスモデルがマッチし、2003年の創業以来、2021年3月期まで17期連続の営業増益を達成しています。

2022年3月期第2四半期実績は、新型コロナ感染拡大の影響により、介護キャリア事業で成長率が一時的に押し下がりました。

しかしカイポケ会員数の順調な増加、デジタル商材ニーズ拡大に伴うメディカルプラットフォーム事業の成長といった好成績も。事業全体では売上高が199億円(前年同期比6.9%増)、営業利益は36億円(同24.8%増)となりました。

市場では2022年3月期(通期)の営業利益は67億円(前期比21.8%増)と増益更新、さらに2023年3月期にも75億円(同12.4%増)と増益が続くと予想されています。
2040年には人口の35.3%が65歳以上になると見込まれ(令和2年版厚生労働白書)、医療・介護の需要は高まるばかりです。

独自のビジネスモデルや社会変化への柔軟な対応力など、同社の強みによって継続的な利益拡大に期待がかかりますね。

「人生100年時代」で存在感がさらに増す

医療・介護分野の人材市場でトップランナーとして活躍しているエス・エム・エス。長寿化が進行する日本社会で、同社へのニーズはますます高まると考えられます。

「人生100年時代」により良く生きられるように、同社の活躍を応援していきたいですね。

2021年12月号では、サイゼリヤと三井不動産が除外となりました。
サイゼリヤは、コロナ禍からの業績回復の把握や同業比較が難しい状況が続いており、株式市場の評価が迷走することを懸念しました。また三井不動産は、顧客におけるコロナ禍後のオフィス戦略が動き出すとみられ、十分な成長性を回復できるかの確認に時間を要することを考慮しました。