テレビや新聞で取り上げられたニュースの裏側を解説する本連載「ニュースの裏事情」。今回は、「地熱発電」に関するニュースの裏側についてご紹介します。
地熱発電所の調査が本格化へ
経済産業省が地熱発電所の調査を本格化すると8月26日付の日本経済新聞が報じました。環境省と連携し、北海道や九州など30ヵ所を現地調査するとのことです。2022年度予算の概算要求に調査費など地熱発電の開発支援として183億円を盛り込むとしています。
これを受けて、「 アストマックス 」が8月26日に一時ストップ高(80円高の310円)となりました。
同社は宮城県尾八重野地域において、地熱発電の事業化に取り組んでいます。資源量調査などを経て、現在は4.8メガワットの発電所建設に向けた検討を進めており、運転開始は2026年度を想定しています。
「地中熱」関連などにも物色広がる
また、地中熱事業を手掛ける「 三谷セキサン 」は連日の年初来高値を更新。
同社は構造物を支えるコンクリートパイル(基礎杭)が主力で、杭打ち機を利用した地下熱エネルギーの利用などを行っています。地熱発電とは違い、“地中熱”は地域を選ばず利用できる低温の熱エネルギーです。中でも同社は、夏の熱を地中に蓄えて融雪するといった、熱効率が高く、省エネ・低コストに優れたパイプ・イン・パイル(PIP)融雪工法を得意としています。
このほか、地下資源工事用掘削機械を手掛ける「 鉱研工業 」、地熱発電事業化支援サービスを行う「 応用地質 」なども関連銘柄。「 大成建設 」はCO2を活用した地熱発電技術の開発に着手したと8月23日に発表しています。
動き出した地熱・地中熱関連。本格的に稼働すれば、日本のエネルギー事情をサポートする存在になるかもしれませんね。
(出典:日本証券新聞)