環境問題の深刻化を背景に、資源の循環を前提とする経済構造への移行が世界各地で進められています。そのなかでも今回は、重要な役割を担う軸として期待される廃棄物再生(リサイクル)業者に注目してご紹介します。
本格的な循環型社会が到来
従来の経済システムは、資源→生産→消費→廃棄という一方向の流れでした。しかし、こうした人間の活動によって環境問題が深刻化し、3R(リデュース、リユース、リサイクル)といった取り組みが始まりました。
そして、この3Rをベースに、これまで廃棄していた製品や原材料も資源と捉え、資源の“循環”を前提としていく経済システムが「サーキュラーエコノミー(循環経済)」です。
2015年の国連サミットで採択された「SDGs(持続可能でよりよい世界を目指す開発目標)」の取り組みもあり、世界各地でサーキュラーエコノミーに対応した経済構造への移行が進められています。
たとえばメーカーでは、新しい資源の利用は最小限にとどめ、すでに使われている資源の循環を念頭に製品を設計。使い終わったら簡単にリユース・リサイクルできる製品を作り上げる体制へとシフトしています。
また、廃棄物処理施設においては、多様な廃棄物を加工・処理し、再び使われる資源を供給する“再生資源工場”へと変容してきていて、サーキュラーエコノミーの重要な役割を担う軸として期待が高まりそうです。
市場規模は過去最高の50兆円に!
環境省によると、2019年における国内の廃棄物処理・資源有効利用分野の市場規模は、推計で50.95兆円(前年比4.4%増)と過去最高を更新しました。
環境への意識が高まる中、資源の循環を前提とした経済システムは主流となっていく可能性があります。今後も同分野の市場規模が拡大すれば、廃棄物再生業者の商機は続きそうです。
主な廃棄物再生業者は以下の通り。「 イボキン 」は、解体・設備撤去から廃棄物処分、有価物買い取りまでを自社で完結するワンストップ・サービスを提供しています。
また「 松田産業 」は、半導体・電子部品のスクラップから金・銀・プラチナ・パラジウムを回収し製錬する貴金属リサイクル事業が主力。タイ、マレーシア、ベトナムにも半導体・電子部品の貴金属回収・製錬工場を持っています。
従来の「大量生産・大量消費・大量廃棄」の経済から、できる限り長くモノを使い、廃棄を減らす考え方として注目されるサーキュラーエコノミー。その中心的存在として期待される廃棄物再生業者に注目してみてはいかがでしょうか。