今の社会動向や投資環境をもとに旬な銘柄を毎月選定している「日興ストラテジー・セレクション」。7月号の新規採用銘柄は二輪・四輪車メーカーの「本田技研工業」です! 本田技研工業の投資ポイントをチェックして、これからの銘柄選びの参考にしてはいかがでしょうか。
世界に名を馳せるモビリティカンパニー 「本田技研工業」
今回仲間入りした「 本田技研工業 」は、世界有数の二輪・四輪車メーカーです。
戦後間もない1946年に、旧陸軍が所有していた無線機の発電用エンジンを自転車用補助エンジンに作り替え、自転車に取り付け発売したのがHondaのはじまり。
それまで主な移動手段だった自転車に比べ、より楽に、より速く、より遠くまでの移動を可能にし、人々の豊かな暮らしづくりや社会・経済の成長に貢献することとなりました。
創業のきっかけとなった二輪車は、2019年に世界生産累計4億台を達成し、世界シェア首位の座を堅持しています。この背景にあるのが、世界最高峰の公道バイクレースであるマン島TTレースへの出場や、四輪自動車レース最高峰であるF1出場などでしょう。
Hondaの高い技術力や性能を世界の人々へ認知させるとともに、確固とした安全性・信頼の確保につなげています。
二輪・四輪事業では、海外売上収益が同社事業全体の約76%(2021年3月期)を占めるほどの勢いです。
創業当時から世界的視野に立って製品を生産し、世界に名を馳せることを目指してきた同社。その目標を実現し、世界有数のモビリティカンパニーとして活躍を続けています。
世界初の機能や独自研究で「次世代の車」を続々開発!
20年、30年後のビジョンも掲げ、より高性能で安全性の高いクルマづくりへの取り組みも加速させています。
そのひとつが自動運転機能です。2021年3月には、世界で初めてレベル3の自動運転機能を搭載した新型「LEGEND(レジェンド)」のリース販売を開始しました。
自動運転の定義は、レベル1(運転支援)からレベル5(完全自動運転)までの5段階に分けられています。レベル2までの自動運転は“人”が主体で、システムが支援する形です。
レベル3からは“システム”が運転を主導する形とされており、高速道路渋滞時など一定の条件下で、システムが人に代わって運転操作を行うことが可能となります。高齢者等の移動支援や交通事故の削減といった効果が期待されており、大きなニーズ拡大が望めそうです。
また同社は、世界全体で喫緊の課題となっている気候変動の抑制に向け、CO2排出ゼロ車両の導入を促進・加速させるべく、2021年4月に「2040年全車種電動化」の方針を打ち出しました。
四輪車では、2020年にEV(新型電気自動車)の「Honda e(ホンダ イー)」を日本および欧州で販売開始。さらに北米・中国などへも順次EV投入を計画しています。
2024年には、北米でゼネラルモーターズのEV向けバッテリーを採用した共同開発の大型EVを2車種、また中国でも5年以内に10車種のHondaブランドEVを投入する予定です。
EVの高い商品競争力を確保するために、全固体電池の開発にも力を入れています。全個体電池とは、中身が液体から個体になったリチウムイオン電池のこと。
現在、ハイブリッド車やEVに利用されているリチウムイオン電池に比べて、安全性や性能面で勝り、同じ大きさの電池でもEVの航続距離は長くなります。 同社は、独自に全固体電池の研究を進めており、2020年代後半のモデルに採用予定となっています。
目先は好調な販売計画に注目
2021年3月期は新型コロナの影響による経済活動の抑制および需要減、半導体供給不足などの影響を受け、前期比11.8%の減収となりました。
しかし、事業活動の見直しによる販売管理費の抑制やコストダウン効果などから、営業利益は6602億円(前期比4.2%増)の増益です。
2022年3月期の会社計画は、原材料価格高騰や半導体供給不足の影響を織り込み、営業利益は前期並みの6600億円と保守的です。
一方、2021年4月発売の新型「VEZEL(ヴェゼル)」は、発売から1ヵ月で受注台数が月間販売計画の6倍以上の3万台超となり、好調なスタートを切りました。
さらに、2021年秋には、世界販売累計で約2700万台を誇る「CIVIC(シビック)」の新型車販売も予定しています。
こうした主力車種のモデルチェンジなども鑑み、二輪・四輪車ともに同期の販売台数は前期を上回る計画です。
今後の成長に向けた素地は整ったと考えられ、市場予想の営業利益は7815億円と会社予想を大幅に上回り、株価の上昇余地は大きいと考えられます。
「安全」と「環境」に徹底的に取り組み、最前線で走り続ける
世界有数の二輪・四輪車メーカーである「本田技研工業」。
世界初となるレベル3の自動運転機能搭載車を発売し、高度な安全技術を提示しています。また、「2040年全車種電動化」の方針を打ち出し、新型電気自動車の展開で環境負荷ゼロへの取り組みを加速させています。
地球環境と人々の暮らしを支える同社の成長を楽しみに、活躍を応援していきたいですね。
同社の、主力の空調機器における中長期的な成長性に変化はないものの、銅などの資材や物流費の高騰、コロナ禍による巣ごもり需要の反動などが重石になり、株式市場の高い期待感と乖離することを懸念しました。また、新中期経営計画では積極的な先行投資や企業買収が予定され、利益成長がやや鈍化する可能性も考慮しました。