コロナワクチンの普及により、景気回復と海外旅行の再開を織り込んで、世界の航空株の株価が回復しています。そこで今回は、航空大手だけでなく空港施設やサービスなど関連銘柄も含めた航空業界を見ていきます。
“片翼飛行”でも株価はコロナ前の水準に回復
新型コロナ感染拡大前の国内大手2社の業績を振り返ると、2019年3月期の国際旅客収入と国内旅客収入の割合はほぼ同じでした。ところがコロナ感染拡大防止のため海外の多くの地域への渡航中止勧告が出されたこの1年強は、“片翼飛行”の状態が続いています。
この影響で、国内航空大手2社の株価はコロナ以前よりも株価が大きく値を下げた状態が続いていました。しかし、新型コロナワクチンの接種が進む中、2年後、3年後には世界の観光業界がコロナ前に戻ることを織り込んで世界の航空株の株価はリバウンドが継続。コロナショック前の株価水準を回復しつつあります。
日本から海外へ出国する人の数は、過去10年以上、年間1500万~2000万人程度で推移していました。ところが、コロナ禍の2020年は、わずか317万人に留まりました。
オンライン会議が普及したこともあり、海外出張の需要が一部消失する可能性はありますが、単純計算では1000万人以上の渡航需要が2021年以降に持ち越しになったとも考えられます。
需要がコロナ前に戻るだけでなく、過去1年間に逃した機会を埋め合わせる“リベンジ旅行”も含めれば、海外渡航が再開された後の需要は力強い回復が期待できそうです。さらに、足元での世界的な株高で家計金融資産が増えたのも海外旅行には追い風と言えるでしょう。
空港の大家さんや免税店も! 期待高まる航空関連銘柄
航空業界に関連する銘柄は、「 日本航空 」(JAL)や「 ANAホールディングス 」など航空輸送を担う会社だけではありません。
「 日本空港ビルデング 」は、羽田空港の“大家”で、テナントからの家賃を収益源とし、自らも免税店を運営しています。
双日が筆頭株主の日本航空系の商事会社「 JALUX 」は、空港売店「BLUE SKY」や免税店を展開しています。
「 空港施設 」は、羽田・関空を中心に国内12空港などで多目的総合ビル、航空機格納庫の賃貸や、空港向け冷暖房施設などの運営を行っています。
「 鴻池運輸 」は、国内7空港(関空、羽田、成田など)において、カウンターやラウンジでの接客業務や旅客手荷物・輸出入貨物の搭降載、航空機の誘導、航空機内客室清掃などに携わっています。
ワクチン接種が進む米国では、徐々にヒトの移動が活発化しています。また、JAL・ANAは、国際線の運航に携わる乗務員や地上業務の従事者を優先し、新型コロナワクチンの職域接種をスタートしました。移動・旅行需要が高まる航空関連業界に、ますます注目が集まりそうです。