株が上がっても下がってもしっかり稼ぐ投資のルール 新版

今日からお金賢者になれる「1分書評」/ 日興フロッギー編集部

「確実に資産を増やしたい」個人投資家御用達のロングセラーが新版化。コロナショックなどマーケットの波乱場面を踏まえた本書は、上昇相場にも下落相場にも効きます。まったくの初心者というより、そろそろ中級というあなたにこそ読んでほしい一冊。

著者の市場愛がたっぷり。下落局面にも強くなれる株の教科書

誤解を恐れずにいえば、本書は「ねばならない」と「してはいけない」のオンパレードです。

「レバレッジ取引は絶対にしてはならない」「『上がるまで保有し続ける』はもはや通用しない」「投資の目的を決めずに投資をしてはならない」

徹底したリスクヘッジで「逆指値注文」も「マイナス10%」と厳しめです。「逆指値」とはあらかじめ「〇円まで下がったら売る!」と設定しておくことですが「10%ってヘタすりゃ買って数日後に売ることになるのでは?」と思う人もいるでしょう。

そこには、株式購入は慎重を期すべきとの著者の思惑もあり。「人の薦めでなんとなく買う」のはもちろんNG! 購入前には会社説明資料と決算短信の基本セットに目を通すこと。これ、片方だけではダメだそうです。

前者は会社の主観が入ったもので、後者は取引所のフォーマットによる客観的なもの。表裏セットを活用しないのは手札を見ずにポーカーをやるようなものだといいます。

用語や数字についても丁寧なので教科書のように使えますが、面白いのが著者の考察。「下方修正の多い企業」「監査法人の交代(特に大手→中小への変更)」など危ない企業に挙げる流れのなか、「自叙伝的出版物を出す企業にも要注意」なんて記載も。「絶対ではない」と断りが入るものの、これには苦笑してしまいました。

同時に「丑年で買って巳年で売る」「5月に売り逃げよ」などの、根拠はないけどよく起こる現象にも触れています。この辺り、市場愛というのか考察オタクぶりが伺えますが、意外とバカにならないらしい。また、個人投資家には「株価売買ノートの作成」を薦める著者ですが、自身、書き留めてきたノートは30冊以上。その経験値がみっちりつまった一冊です。