マーケットの「温度感」がわかる連載「カエル先生のマーケットハイライト」。今回は出そろった2・3月期決算企業の決算内容や、これから注目すべき「筋肉質」な銘柄について解説します!
5月は米国のインフレ(物価の上昇)懸念から株価が急落する場面がありましたが、ワクチン接種の進展などから下値では買いが入りました。国内でも徐々にワクチンの接種が広まりつつあり、これまで売られていたインバウンド関連銘柄や、コロナ禍でコストを圧縮できた銘柄などに注目が集まるかもしれませんね。
5月はインフレ懸念から株価急落も
5月31日の日経平均株価は2万8860円となり、前月末比48円高でした。
5月前半は、米国を引き金にした株価の急落に見舞われました。12日に発表された米国のインフレ率は前年同月比+4.2%と、12年7ヵ月ぶりの高い水準となりました。それを受けて、米国で金融の引き締めが早まるのではないかとの懸念から米国株が急落。日本株もハイテク株や成長期待株を中心に売りが相次ぎました。ただ、欧米を中心にワクチン接種の進展が見られたことなどから、下旬にかけては「コロナ後」を見据えた買いが入りました。
インフレ率が高いと、なぜ株が売られるのでしょうか。
一般的に、各国の中央銀行は景気が悪化しそうなときは金利を下げるなどして金融緩和策を実施します。逆に景気が加熱して、物価が上がってくると、それを抑えようと金利を引き上げるなどして金融を引き締めます。今回は、まだ景気が本格的に回復していないにもかかわらず、一部の物価が急上昇したことで、「今の緩和策が早く終わるかもしれない!」と投資家がリスク回避の行動に出たということが考えられます。
3月期決算は内外で明暗
国内ではゴールデンウィーク後に、企業の決算発表が一巡しました。
国内では、欧米に比べてワクチン接種の遅れが目立っています。その影響もあり、緊急事態宣言の延長や対象地域が拡大したことなどから、小売りや外食産業など内需関連企業の業績は振るいませんでした。
一方で、半導体や自動車など外需関連銘柄は、販売が好調です。そのため、今期の予想営業増益率は+46%にも達する見込みです(QUICKコンセンサス予想)。
一部は「コロナ後」を見据えた動き
ただ、ワクチン接種の進展に伴い、次第に「コロナ後」を織り込む動きが見られ始めました。5月下旬には航空株や旅行関連株も買われ始めており、内需の中でも「インバウンド関連」銘柄には期待が集まり始めているようです。
コロナ禍で「筋肉質」になる企業に注目
直近の決算結果を踏まえ、コロナ禍でコスト圧縮を進めたことで「筋肉質」になりそうな銘柄に注目しました。どの企業も経済が正常化すれば売上は伸びますが、その中でも、苦しい中でコストを削減してきた企業は、業績の伸び方がライバルよりも一歩抜きんでる可能性があります。
そこで今回は、今期増収増益が見込まれており、かつ、コスト削減などにより、前期より営業利益率が大きく改善する見込みの企業をスクリーニングしました。
参天製薬
東祥
アステラス製薬
生化学工業
レーサム
インフォネット
カプコン
ダブルスタンダード
オリンパス
カカクコム