テレビや新聞で取り上げられたニュースの裏側を解説する本連載「ニュースの裏事情」。今回は、今年は特に注意が必要と言われているPM2.5についてご紹介します。
PM2.5は新型コロナを重症化させるリスクも
今年も中国大陸から黄砂が飛来する時期がやってきました。黄砂には微小粒子状物質(PM2.5)が含まれるため厄介ですよね。九州では3月30日、一時的にPM2.5の環境基準である1立方メートル当たり35マイクログラムを超えた地域が出ました。
黄砂は春に観測されることが多く、中国から日本へ飛来する過程で大気汚染物質の発生が多い地域を通過した場合、PM2.5が黄砂と共に日本に到達する場合があります。昨年は新型コロナウイルスの影響で、経済活動が停滞したため、中国ではPM2.5の濃度が一時的に大きく低下しました。
しかし、経済活動が再開したこともあり、大気汚染被害が再び悪化しています。3月15日、過去10年で最大規模の砂嵐に見舞われた中国・北京では、PM2.5などが含まれ、大気汚染度は「危険」と判定されたそうです。韓国も29日、黄砂の影響でPM2.5の濃度が今年最悪を記録しました。
京都大学の研究グループは2月、PM2.5が新型コロナウイルスの細胞への侵入口を拡大し、発症や重症化につながっていることがマウスを使った実験で分かったと発表。PM2.5には例年以上の警戒が必要といえます。
PM2.5の関連銘柄に注目
今後、風量や風向きによって黄砂やPM2.5の被害が大きくなれば関連銘柄に注目が集まります。屋内では空気清浄機が活躍します。「 ダイキン工業 」「 シャープ 」「 パナソニック 」などからPM2.5対策をうたった製品が出ており、花粉症対策にも利用できます。
マスクは「DS2」や「N95」といった規格に対応した高性能防塵マスクが効果的とのこと。「 重松製作所 」「 興研 」などが製作しています。このほか、成分分析や測定器は、「 環境管理センター 」「 堀場製作所 」「 東亜ディーケーケー 」などが手掛けています。
国内でも変異型の新型コロナウイルスが広まり始めており、例年以上に黄砂にも注意が必要と言えそうです。
(出典:日本証券新聞)