学生だったり、親元で生活している間は、保険を意識することはあまりないかもしれません。でも、社会人になって、経済的に独立したことをきっかけとして、加入を検討する方も多いのでは? また、保険の外交員さんに勧誘されたりして、親も入っているし、自分も入らなければ……と悩んでいる方もいらっしゃるのではないでしょうか。保険に関する、基本的な考え方を解説します。
基本は公的保険だけで問題ない
結論から言うと、就職したばかりの若い独身者には、保険は必要ないことがほとんどです。というのは、就職したばかりの独身者で健康な場合、保険でカバーしなければいけないほどのリスクは、そもそも存在していないことが多いのです。
たとえば、病気になったとしても、健康保険(会社員の場合は社会保険)に加入しているため、医療費の負担は3割ですみます。そして、入院などで医療費が一時的に膨らんだとしても「高額療養費制度」のおかげで、一定額以上の負担に対しては返金が受けられるので医療費の自己負担の最高額には上限があるのです。
上限金額は、収入によって異なります。たとえば年収が500万円の場合、医療費が100万円かかかったとすると、本来の自己負担額は30万円になりますが、この制度を使うと、自己負担分は8万7000円程度ですみます。※1 また、企業などの健保組合によっては、さらに補助があって、自己負担分がもっと少なくなる場合も多いので、自分が加入している健保の規定を確認しておくといいでしょう。
ですから、健康で独身の若者の場合、毎月の入院費をカバーする医療保険などに、わざわざ加入する必要はない場合が多いでしょう。一般に、独身の若者の場合は、保険に入るよりも、万一のときに備えて給料の数カ月分を預金をしておいて、いざというときにそれを使ったほうがいい場合が多いでしょう。もちろん保険でも用は足りるわけですが、預金はお金を他の用途にも使える点が勝っています。
保険は、三段階で考えましょう。公的保障だけで足りるのならば、それでOK。それに加えて企業保障も考えて、足りなければ初めて、預金や民間の保険などを通じて自分で準備することを考えます。
どんなときに保険に加入したらいいのか?
では、死亡したときに死亡保障金などが支払われる「生命保険」については、どういうときに加入したらいいのでしょうか?
まず、配偶者や子どもなどの扶養家族がいない場合には、あなたに万が一のことが起きたとしても、経済的に困る人はいません。その場合は、生命保険も必要ありません。
しかし、そういう対象がいる場合には、預金だけではリスクがカバーしきれません。そういう、自分の力だけでは対応しきれないときこそ、保険に入るのです。あなたが病気やケガで働けなくなったときや、死亡したときに、保険は大きな安心材料となってくれます。
ただし、その場合でも、自分や家族にとって必要な分量の保険を見極める必要があります。万が一あなたが働けなくなった場合、配偶者は働けるのか? 生活費はどれくらい必要なのか、子どもの教育費は? 住居費は……さまざまなライフプランを自分の家族と話し合って、必要な額を算出してはじめて、必要な保険のサイズが見えてくるでしょう。
たとえば、あなたが亡くなったあとに、あなたが生きているときよりも、家族がお金持ちになる必要はないわけです。本当に必要な金額がちょうど足りるだけの、最低限のサイズの保険に入るのがいいのです。
学資保険や終身保険などのような、「子どもの学費を貯める」「老後資金を貯める」貯蓄性をアピールしている保険もありますが、支払期間の長さや、満期に受け取れる利息、そして途中で解約すると大きく損をするといった不自由さを考慮すると、必ずしもお得な商品とはいえません。その資金を元手に、自分で運用する方が得になる場合もあるでしょう。
保険は、場合によっては家と同じくらい大きな買い物にもなる金融商品です。決して人に言われるままに加入したりせずに、支えきれないリスクがあって、守るべきものがあるときに、必要最低限のものに入るようにしましょう。
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