小学生も使えるシンプルな指標で「負けにくい投資」を~みきまるさん【後編】

リアル投資家列伝・ 独自手法「優待バリュー株投資」で資産数億円/ みきまる

みきまるさんが投資の軸としているのは株主優待とバリュー投資の2つ。これらを組み合わせることで、独自の投資スタイル「優待バリュー株投資」を磨き上げてきました。さまざまなアプローチのあるバリュー投資ですが、みきまるさんはどんな指標で優待株の割安度を測っているのでしょうか。初心者でもすぐに取り入れられるシンプル指標の使い方、要チェックです!
「美人投票x優待投資」で資産数億円~みきまるさん【前編】を読む

とにかく「PBR」を重視する

株主優待の魅力に気づいて投資を始めたみきまるさんですが、初心者時代から続けているのがバリュー投資です。

「投資を始める前、図書館で10冊ほどの投資本を借りて読んでいるうち、どうやらバリュー投資が理にかなっているようだ、と思いました。だから株主優待銘柄にしても、何も考えずに買うのではなく、PBRなどを見ながら割安な銘柄を買っていました」

PBRは資産面から株価の割安度を測る指標。一般的にPBRが1倍以下なら割安とされる。

「PBRはいわば会社の『原価』を教えてくれます。株式市場で長年使われている指標で、その有効性はさまざまな論文でも証明されており、永続性がある。もっともロバスト(堅固)な指標です」

投資指標としては「負けない投資」を重視してPBRを最重要視する――みきまるさんが2005年から綴っているブログの最初期の記事にもはっきり書かれていた。

超シンプル! PER×PBR≦5.625の銘柄を探せ!

「今はPBRだけでなく『ミックス係数』も意識しています。『バリュー投資の祖』とされるベンジャミン・グレアムが提唱した指標です。グレアムの本は投資初期に読んでいたのですが、当時は自分に知識がなく、『なんや、これ』って意味がわからなかった。2008年くらいに再読して、その価値に気が付きました。『このおっさん、ええこと言っとったんやな』と(笑)」

ミックス係数はとてもシンプルな指標。計算方法は「PER×PBR」だ。

ミックス係数=PER×PBR

「グレアムは22.5以下を割安の基準としていますが、僕はその半分の11.25以下、欲を言えばさらに半分の5.625以下が理想です。それだけ低ければ小学生が見ても『この株は安い』とわかりますから」

たとえば、みきまるさんの675銘柄のポートフォリオの中で7位と上位にある「 オリックス 」のPERは10倍、PBRは0.64倍。掛け算すると、ミックス係数は6.4倍となる。

「5.625よりは高いですが、充分に低い。しかもオリックスは株主優待も充実していますから、『優待スーパーバリュー株』なんです」

PERもPBRも基本となる指標。ともにフロッギーで確認できるし、2つを掛け算するだけだから割安度の判断もシンプルだ。

「2020年3月のコロナショックではミックス係数が2倍以下の優待バリュー銘柄が大量にありました」

カエル先生の一言

フロッギーでは、ログイン後にPERやPBRが確認できます。「売る」「買う」ボタンの下の「銘柄詳細を見る」をクリックすると少し下のほうに表示されます。チェックしてみてくださいね。

コロナショック後の本命は「ホームセンター銘柄」

ミックス係数などの指標を見ながら優劣をつけ、みきまるさんは「優待いけす」で保有する株数を変化させていく。

「675銘柄の持ち株には常に順位をつけています。コロナショック時の1位はフィリピンでカジノ施設を展開する「 ユニバーサルエンターテインメント 」でした」

ところがコロナ禍でカジノ施設は閉鎖に。ユニバーサルエンターテインメントの株価は4000円から1400円へと暴落した。

「主力施設が閉鎖された銘柄を1位にしておくわけはありません。『このまま持っていたら死んじゃう!』と思って、ウィズコロナ銘柄に切り替えました」

みきまるさんが着目したのはホームセンター銘柄。その1社が九州を地盤にディスカウントストアなどを展開する「 MrMaxHD 」だ。

「当時のミックス係数は4.32。とても割安な状態でしたから、コロナシフト対策の本命銘柄に据えていました」

3月に300円を割っていた株価は半年で1000円へと上昇した。一時は年初来34%のマイナスとなったみきまるさんのポートフォリオも2020年を通してみると、微増にまで回復している。

主力株には「絶対にリスクを求めない」

「どの会社を主力と位置づけるか、ひとことで言えば20年の経験に基づく『みきまるコンピュータ』です(笑)。PBR、ミックス係数に加え、業績などのファンダメンタルズが良好で明白なカタリスト(触媒、株価を上昇させるような材料)がある株を主力に据えることが多いです」

ただし、とみきまるさんは続ける。

「以前www9945さんに言われたことがあるんです。『みきまるさんのポートフォリオ1位はいつもスゴイよね』と。そのときは褒め言葉だと思って、エヘヘと思ったんですが、よく考えてみたら僕の欠点を教えてくれたんだと気が付きました」

先ほど紹介したようにコロナショックまでポートフォリオ1位だった銘柄は、フィリピンでカジノを展開するユニバーサルエンターテインメントだった。

前回お話しした「 アールビバン 」への投資も成功はしましたが、リスクの大きい銘柄。父ちゃんがギャンブラーだった血なのか、投資にスリルを求めたりエンターテインメントとして楽しもうとしてしまう。リスキーな株を主力に据えるクセがあるんです。ビジネスとして冷徹に取り組まないといけないと反省し、今は意図的に地味な銘柄を上位に据えています」

現在のポートフォリオ1位はホームセンターを展開する「 ナフコ 」。PERは5.3倍、PBRは0.4倍とミックス係数は2.1。超割安な水準だ。2位の「 コーナン商事 」も同じくホームセンターを展開するミックス係数5倍の優待バリュー銘柄だ。

エコスアプライドロジネット ジャパン (ロジネット ジャパンは札証上場であるため、フロッギー上では購入できません)

こうした優待バリュー投資を基本スタイルにしてきたみきまるさんだが、5年ほど前から新たな投資アイディアを取り入れている。

バリュー投資だけじゃもったいない! 新定番は「バリュー→モメンタム投資」

「それが『バリュー→モメンタム投資』です。買うときは不人気なバリュー株であっても、やがてグロース株へと生まれ変わり、モメンタム効果で上がり続けることがあります。なので、買うときはバリュー指標を見て投資判断する。でもその後は、株価が上がっても相場の勢い、つまりモメンタムを重視して握力強く保有する。これが、バリュー→モメンタム投資です」

カエル先生の一言

1927~2014年の88年間の投資法別パフォーマンスを分析したところ、モメンタム投資は年平均16.85%。バリュー株投資(12.41%)、グロース株投資(8.70%)、米S&P500種株価指数(9.95%)を上回っていたそうです。
出所:『優待バリュー株投資入門』『「ウォール街」のモメンタムウォーカー 個別銘柄編』

バリュー投資であれば、株価が上昇し割安度が低下した時点で手放してしまうのがセオリー。でもこれでは上昇局面の最後まで追いかけられない。

「実はバリュー株がバリューでなくなるときはいちばんモメンタムが強い。そこから株価は2倍、3倍になることもザラです。大きく資産を増やしたいなら、僕らバリュー投資家もモメンタム投資を取り入れるべき、というのが僕の持論。cisさんにしろ、典型的なモメンタム投資家。彼の大成功がモメンタム戦略の優位性を示しています」

cisさんとは、230億円を築いた日本を代表する個人投資家。「一人で日経平均を動かせる男」の異名もあるくらいの大物だ。

「この戦略でうまくいったのが「 物語コーポレーション 」です。バリュー株として買ったものの、途中からグロース株へと変貌しました。そこで、割安度は薄れていましたが、相場の勢いに乗って一時はポートフォリオの1位となるまで買い増しました。その後、株価は2倍以上になり、大きな利益を得ることができました」

みきまるさんにモメンタム戦略の有効性を教えてくれたのはある書籍だった。

「きっかけは『ウォール街のモメンタムウォーカー』という書籍です。今になって振り返ると、それより以前に読んだウィリアム・オニールも同じことを言っていたのだと思います。「激しく上下しながら上がっている株よりも、緩やかに着実に上がっていく株のほうがいい」というオニールの言葉は、モメンタム投資のことなんだと、後になって気が付きました」

割安でなくなったら売却してしまうのがバリュー投資。それに対してトレンドフォローのモメンタム投資では、上がっているうちはトコトン上昇についていく。

「人によって向いている手法は違います。僕は優待バリューから始めましたが、これから始める人はトレンドフォローのモメンタム投資のほうが向いている人もいると思います。バリュー投資から始めると株価が割安なままヨコヨコして我慢の時期も多い。それに対してモメンタム投資だと買ってすぐ上がることも多く、果実がすぐ手に入りやすいんです」

優待バリューに加えてバリュー→モメンタム投資という武器を手に入れたみきまるさん。その資産は配当生活や優待生活が充分に可能な水準へと達した。現状維持が目標にはならないのだろうか?

「配当生活はゴールではないんです。超富裕層とされるくらいの資産を早く築きたい。親交のあるスゴ腕と呼ばれる人と比べても自分が劣っているとは思えないし、超富裕層へたどりつく義務がある、と思っています」

超富裕層を目指すみきまるさん、そういえば投資を始めるきっかけとなった父親の借金への懸念は大丈夫だったのだろうか?

「僕が「この銘柄はいいよ」なんて説明していたら、父ちゃんも買っていたようです。まぁまぁ儲かったのか、亡くなったとき借金は出てこなかったんです」

親孝行も果たしたみきまるさん。ギャンブル好きな人も魅了した優待バリューの威力、フロッギーなら100円から試すことができます。少しずつ銘柄や保有株数を増やしていけば、超富裕層も夢ではない、かも!