コロナで受けた大打撃を一気にV字回復させた優待戦略とは?【8月前編】

億り人緊急座談会/ かんちwww9945みきまる日興フロッギー編集部

3月に次いで株主優待のチャンスが豊富なのが9月。しかし、優待の中でも人気の飲食関連はコロナで苦戦中……。そこで8月3日(月)、億り人さんに集まっていただき「ウィズコロナ時代の優待株選び」についてZoomで語り合ってもらいました!

優待株650銘柄を持つ億り人が登場!


www9945さん、かんちさん、ご無沙汰しています! みきまるさんは初めまして、ですね。フロッギーにご登場いただき、ありがとうございます! 早速ですが、優待投資家として名高いみきまるさんは、優待株は何銘柄くらいお持ちなんですか?


650銘柄くらいですね。


スゴい……! かんちさんは何銘柄ですか?


私は700銘柄くらいです。ただ、基本的に「株価下落時は配当と優待をもらいつつ耐える」というスタンスのため、大きく売買はしていないので今年の資産は凹んでいます。今は年初来18%減くらいですね。


私は瞬間風速で、年初来36.7%減でした。


私でも3月の最悪期でマイナス35%でした。かなりの被弾(※編集部註:ダメージを受けること)ですよね……。


コロナがこんなに広がるとは思っておらず「すぐに収まるだろう」と油断していました。そのため、アゲインスト・コロナ銘柄を集めていたんです。


どんな銘柄ですか?


たとえば 「 JAL 」や「 ANA 」。羽田空港の発着枠拡大とか、皆さんもう忘れていませんか?


そういえば、東京五輪へ備えて国際線の発着枠を拡大するという話でしたね。


3月末に発着枠が大幅拡大したんです。コロナが落ち着けばJALやANAへ追い風になるだろうと買い集めていました。あとはブライダルの「 エスクリ 」、百貨店の「 高島屋 」……。

ホームセンター&地方スーパーへ乗り換えてV字回復!


まさに、「アゲインスト」。コロナが逆風になった銘柄ばかりですね……。


「このままだと死んでしまう」とブログに戦場で死んでいるイラストをアップしたのが2020年3月4日。敗北をみとめ戦略を転換した日です。「ウィズコロナ」銘柄へ資金を全部入れ替えて、今は年初来1.3%減まで回復しています。ほぼとんとんです。切り替えていなかったら大変なことになっていました……。

出所:「みきまるの優待バリュー株日誌」


5ヵ月で30%以上のV字回復ですね。さすがです! どんな銘柄に乗り換えたんですか?


ホームセンターや地方に拠点を置くスーパーですね。ホームセンターだと「 ナフコ 」「 コーナン商事 」「 コメリ 」。スーパーだと、もう売りましたが「 リテールパートナーズ 」などですね。


スーパーやホームセンターはいいですね、だめなのは外食。外食は株主優待をもらえる銘柄も多いので基本的には持ったままにしていますが、外食株は95%くらいの銘柄が下がってます。さすがに「これはあかんやろ」という銘柄は3つぐらい売却しました。


私の場合、日本株の上位銘柄「 サイバーエージェント 」「 アルテリア 」 「 東映アニメーション 」等は決算で被弾することなく好調ですね。ただ、ベトナム株がズタボロです。ベトナムはコロナの封じ込めに成功していたんですが、7月末から感染が拡大し、株式市場も急落。日本株の利益を外国株が相殺してしまい、この3ヵ月ほどの資産は横ばいです。

億り人2名がコロナ禍で買い増ししたKDDI


皆さん、最近はどんな売買をなさっているんですか?


私は100株だけ持っていた優待銘柄を中心に、不調だった15社ほど売却しました。そして売却した資金で買い増したのが「 KDDI 」と「 TOKAIホールディングス 」。TOKAIはガス事業や水宅配をしていて、両社ともにコロナの影響を受けそうにないディフェンシブかつ高配当な銘柄です。しかも消費者が意識しないうちに月額料金として払っていることが多く、株価も底堅いので優待廃止の可能性も薄いと見ています。その上、KDDIは18年連続増配なんです。


私もコロナが影響しなそうな銘柄へ資金の一部をシフトしています。KDDIは私も買いましたし、あとは「 NTT 」です。ともに大型株で高配当、それにコロナ禍が長引いても赤字にはならないだろうと思える会社ですから、資金の避難場所としてはいいだろうと。でも、みきまるさんのようにもっと頭を巡らせて、スーパーやホームセンターへ資金を移しておけば、もっと増やせていましたね。


みきまるさんはなぜ、ホームセンターや地方スーパーへ着目できたのですか?


私が乗り換えた理由は、月次売上が良かったからですね。2、3月からスーパーやホームセンターの売上が跳ね上がっていた。それを見て「コロナ時代にはこういうセクターへお金が流れてくるんだ」と気がつけました。今もまだ割安感は強いですが、当時はもっと安かった。月次を見れば今期の数字も読めるので「ここに資金を入れるしかないだろう」という感じでした。

「平均リターンは7%」だから現金比率はゼロ!


まだ先行きの不透明感があります。一時的に現金のままにしておくという選択肢はなかったのですか?


ないですね。私の信条は「いつもニコニコフルインベスト」(資金をすべて投資すること)ですから。


なぜですか?


なんでかと言うとフルインベストメントでないということは、マーケットタイミングを計っているということですよね。一時的に現金比率を増やしたり減らしたりするということは、相場の先を読めると言っていることに等しい。でも私は「マーケットの先は予想できない」という立場なんです。


なるほど!


それにインデックス投資の論理的支柱の一人であるチャールズ・エリス氏は世界的ロングセラーとなった『敗者のゲーム』に「過去109年間で、ベスト10日を逃しただけで、この間の利益の2/3を失う」と述べています。


下手にタイミングを計ろうとすると、大きなチャンスも逃してしまう恐れがあるのですね。


そういうことです! シーゲルは――。


シーゲル教授は株式投資家のバイブルのひとつとなっている『株式投資』の著者ですね!


そうです。シーゲルによれば過去217年で株式市場は平均6.7%の利回りが得られるとしています。だとすれば、マーケットの先を予想しようとせず、常に株に全部資金を入れておくのが合理的です。ずっと置いておけばいずれ上がるんだからそれでいいじゃないか――シンプルにやろう。それだけです。この20年ずっとそうです。

「優待改悪」、そのとき億り人はどう動く?!


このところ、株主優待の廃止や優待内容の改悪といったニュースも耳にします。コロナ禍で仕方ないことかもしれないですが……。


優待でもらえる最低株数が100株から300株に変わったり、今までは権利確定日に持っていればもらえたのに「1年以上の保有」といった条件を加えたり、優待内容を改悪する会社がありますね。あとは、今までなら優待の改悪とともに増配を発表して株主の期待に応えよう、株価が下がらないようにと対策する会社もあったのですが、ただただ改悪するだけの会社が目立ちます。


それだけ業績の厳しい会社が多いんですね……。そうした会社を見分ける方法はあるんですか?


650銘柄持っていると、避けるのはムリです(笑)。考えるべきなのは、優待廃止などの発表があったときに「ホールドするか、売るか」です。一般論として、www9945さんが言ったように増配などもなく優待を廃止するのは、業績が悪化して背に腹を変えられなくなったとき。そうであれば原則としては「売るのが正解」ですね。


私も優待しか魅力がなかった銘柄なら即切ります。ただ、優待以外に魅力があれば売りません。最近でいえば、「 夢真ホールディングス 」は株主優待の廃止を発表しましたが、配当利回りが6%台(※取材時)と高い。配当性向も高く、ムリしてでも配当を出す会社なので保有を継続しています。建設現場への人材派遣をしている会社なので、建設業界の慢性的な人手不足を考えると期待できますしね。


優待だけではなく配当も加味して考えるんですね! コロナショックを乗り越えた皆さんのお話、とても参考になります。

次回は、連想力で銘柄を見つける方法や、倒産しそうな銘柄に投資をして5倍、10倍を狙う投資法をうかがいます!

※ANA(9202)、リテールパートナーズ(8167)は記事執筆時点で、日本証券金融の注意喚起銘柄に指定されています。