犬と猫の日本での飼育数、どちらが多いと思いますか? 正解は犬。犬の飼育数は約991万7000匹。対して猫は約987万4000匹と犬派が優勢です。でも、猫派もがっかりすることはありません。犬と猫の飼育数の差は年々縮小傾向にあります。このままのペースだと数年中に逆転する気配が濃厚です。社会の潮流が変わるところに投資の種が芽生えているかも。増加する猫派を追い風とする会社を探してみましょう!
成長余地大! ペットの医療費をまかなう保険 【アニコムホールディングス】
医療費の高騰は人間だけの問題ではありません。健康保険のきかないペットの医療費は飼い主にとって頭痛の種。その悩みを解消する手段として、ペット保険が注目されているのをご存知でしょうか?
動物が病気やケガをすると治療費は意外と高額。手術ともなると10万円、20万円を超えることもあります。「ペットも大切な家族の一員」と考えれば治療費を惜しみたくありませんが、経済的な負担はできるだけ抑えたい――そんなときの備えとなるのがペット保険です。最近では大手損保会社もペット保険へ参入していますが、草分けでありトップシェアを誇るのが「
アニコムホールディングス
」傘下のアニコム損害保険です。
ただ、トップシェアとはいえアニコム損保の契約件数は約60万件。冒頭で紹介したように日本の犬、猫の飼育数は約2000万匹ですから、未加入のペットが大部分です。ペット保険の加入率は、欧米では20%以上の国が多々存在する一方で、日本ではまだ5%程度。成長の余地はまだまだありそうです。
「ハローキティ」は世界で大人気、映画化も 【サンリオ】
猫を模したキャラクターは数多くいますが、世界で一二を争う人気を誇るのは『ハローキティ』ではないでしょうか。21世紀に入り、キティ人気は世界へと広まっています。それを示すのが、ハローキティの版権を所有する「
サンリオ
」の営業利益。日本国内での営業利益は100億円ですが、海外だと70-80億円。利益の約4割を海外で稼いでいるのです。
そんなサンリオの海外進出を象徴するニュースが、『ハローキティ』の映画化です。アメリカに子会社を設立し、200~300億円規模の総事業費を見込む大プロジェクト。2019年に公開予定とされ、キティ人気がさらに世界で高まるきっかけとなるかもしれません。
今でも国内の観光地では地元の名産品やキャラクターと『ハローキティ』がコラボレーションしたグッズをよく見かけますが、同じような光景が世界の観光地で見られるようになるかもしれませんね。
街で見かけるあの黒猫、オリジナルは白猫だった?! 【ヤマトホールディングス】
よく寝ることから「寝子」。それが転じて猫と呼ばれるようになった。そんな説もあるくらい、猫には寝てばかりのイメージがあります。でも、働き者の猫だっています。日本でいちばん働き者の猫といえば、ヤマト運輸の子猫をくわえた黒猫かもしれません。
じつはあのロゴ、アメリカ生まれなのです。「
ヤマトホールディングス
」が提携していたアメリカの引越業者で使われていたロゴマークを、当時の社長が気に入って、それをもとにデザインされたとのこと。しかも、その引越業者のロゴは、黒猫ではなく白猫だったのですが、日本向けにデザインしなおすときに現在の黒猫になったそうです。
また2016年には、日経リサーチ社が発表した「ブランド戦略サーベイ」で初の総合得点首位にも選ばれています。インターネットショッピングの普及で、宅配便を利用する機会が増えた人も多いでしょう。子猫を優しくくわえて運ぶ母猫のロゴマークのように、私たちの荷物を運んでくれるヤマト運輸。インターネットで買い物する機会が増えるほど、黒猫が活躍する機会も増えそうです。
世界で盛り上がるネコノミクスの恩恵をねらうなら 【ユニ・チャーム】
猫の飼育数増加とともに「ネコノミクス」なんて言葉も生まれました。猫のもたらす経済効果の大きさを、かわいらしく表現してくれる言葉ですよね。ところが、このネコノミクス、日本に限った話ではないようです。
世界を見ると、ペットケア市場の規模は6兆円(2008年)から2020年には2倍以上の13.9兆円への成長が見込まれています。中国でも生活レベルの向上とともにペットブームが起きていますし、ネコノミクス、イヌノミクスは世界共通のようです。
というわけで、世界のペット市場で戦っている会社には成長が期待できます。そんな会社のひとつが「
ユニ・チャーム
」。あなたが愛猫家なら、「銀のスプーン」の会社といったほうがわかりやすいかもしれません。ユニ・チャームはキャットフードなどのペットケア用品を世界で展開しており、そして会社の売上高の60%以上を海外市場が占めています。世界へ広がるネコノミクスの恩恵を受けやすい会社と言えそうです。
隠れたペット関連トップ企業を発見! 【あらた】
うちの猫ってどこから来たんだろう――? ペットショップで猫を購入した人ならば、一度はそんな想像をしたことがあるのではないでしょうか。あなたの家に来る途中、猫や犬の生体をはじめ、ペットフードや関連用品を扱っている、この会社を経由しているかもしれません。
この会社とは「ジャペル」、東証1部に上場する「
あらた
」の子会社です。卸を専門とする会社なので、ジャペルもあらたも馴染み薄いでしょう。しかし、あらたは日曜雑貨などの卸商社として大手ですし、ジャペルはペット関連製品卸の業界トップクラスの企業なんです。
ジャペルは商社としての機能がメインの事業なので、一般の消費者には馴染みがないですが、小売店のニーズに合わせたオリジナル商品の開発も行っています。ご利用になっているペット用品が、実はジャペルと関係していることもあるかもしれません。消費者の目には直接企業名が見えないけれども、ネコノミクスを支える大切な会社のひとつと考えられます。
いかがでしたか? 2兆円以上とも言われる「ネコノミクス」の経済効果の裏には、さまざまな会社の活躍がありました。社会現象から景気を読み解き、投資の種を見つけるのも、ひとつの楽しみ方かもしれませんね。
今回のテーマで取り上げた上場企業
アニコムホールディングス
サンリオ
ヤマトホールディングス
ユニ・チャーム
あらた