今の社会動向や投資環境をもとにホットな銘柄を毎月選定している「日興ストラテジー・セレクション」。8月号ではM&A仲介業者の「M&Aキャピタルパートナーズ」が仲間入りしました! さっそく、同社の投資ポイントをチェックしてみましょう。
中小企業経営者の強い味方! 「M&Aキャピタルパートナーズ」
少子高齢化が進むなか、日本の多くの企業が存続の危機に瀕していることをご存じでしょうか。日本の全事業者358.9万者のうち、99.7%は中小企業。その中小企業の経営者の年齢に注目すると、2018年時点での最多年齢はなんと69歳でした。
高齢で働けなくなれば、従業員の場合は退職を選ぶことになります。一方で経営者が高齢になった際に後継者がいなければ、廃業・解散を選択せざるをえなくなります。黒字経営にもかかわらず、後継者不在のために事業継続を断念せざるをえない事業者は年々増加傾向にあり、2016年以降、年間4万者以上が休廃業・解散しています。
高齢化の進行で事業承継ニーズは増加傾向に
このような状況で新しい会社の担い手を探してくれるのが、事業承継に関するM&A仲介を手掛ける 「 M&Aキャピタルパートナーズ 」です。
M&Aとは、英語のMergers and Acquisitionsの頭文字を取った言葉で、一般的には企業の合併・買収を指します。M&Aにもいくつかの手法がありますが、同社は主として中小企業を対象とした事業承継に関するM&A仲介を手掛けています。待ったなしの状態にある事業承継ニーズを捉え、順調に成約件数を伸ばしています。
そもそも事業承継の目的は、多くの場合は最適な後継者へ事業を引き継いで、長年培ってきた独自の技術やノウハウを途絶えさせずに、事業を存続・拡大させること。また、事業を存続することができれば、これまで働いてきた従業員の雇用継続を確保できるメリットもあります。日本の全従業者の約70%は中小企業で就業していることを考えると、事業承継は日本経済の将来のために必要不可欠と言えそうです。
少子高齢化の進行が加速している昨今、国も中小企業の円滑な事業承継を後押ししており、2017年7月には中小企業庁が「中小企業の事業承継に関する集中実施期間について(事業承継5ヶ年計画)」を策定しました。少子高齢化は社会にとって深刻な問題ですが、同社にとっては追い風となっています。
レコフとの経営統合で他社との差別化を図る
高齢化により「事業承継ニーズの拡大」という追い風を受けている同社ですが、同社自身もさらなる成長戦略を図っています。それが、2016年10月、主に大企業・中堅企業を対象としたM&Aに強みを持つレコフとの経営統合です。
レコフは、日本にまだM&Aが根付いていなかった30年以上前から大企業・中堅企業の経営陣に成長戦略の提案を続けてきた企業です。国境や業界を越えたM&A実績も数多く持っています。
少子高齢化によって国内の人口減少という問題が表面化しているなか、海外や新分野への進出などに活路を求める中小企業の経営者も増えています。高齢経営者でなくとも、ビジネスモデルの転換は喫緊の課題と言えそうです。このような中小企業経営者に対し、レコフの知見や経験を合わることで業容拡大のためのM&Aを創出でき、同業他社との差別化ができそうです。レコフとの経営統合による今後のシナジー効果に期待したいですね。
新型コロナも同社には追い風に 過去最高益を更新中
M&Aのニーズが膨らむなか、同社の業績も順調です。新型コロナの影響でセミナー開催縮小など営業活動に影響はあるものの、2020年9月期第2四半期では、四半期業績としては過去最高の売上高43.6億円(前年同期比32.1%増)を実現しました。
業界全体でみると新型コロナの影響は避けられない状況で、2020年初(1-3月)は国内企業全体のM&A件数が減少に転じています。一方で、新型コロナの感染拡大は、産業構造の変革をもたらすともみられており、業容拡大のためのM&Aを提案できる同社としては成約を伸ばせるとの予想もされています。
2020年9月期営業利益は63.4億円(前期比8.2%増)、2021年9月期は75.6億円(同19.3%増)と、過去最高益更新が続くと市場では予想されています。新型コロナで事業承継を急ぐ経営者が増える可能性もあり、これからの同社の活躍に期待がかかります。
待ったなしの事業承継ニーズに応え、日本の技術・ノウハウを守る
後継者問題や国内消費の縮小など、少子高齢化の影響で中小企業経営者は待ったなしの対応に迫られています。これまで培った独自の技術やノウハウを存続させ、また従業員や顧客を守るためにも、事業承継やM&Aのニーズは高まるばかりです。レコフとの統合によるシナジー効果で、ますます活躍の場も増えることが期待できそうです。今後の同社の成長を応援していきたいですね。