4人に1人が高齢者! 超高齢社会を支える企業セット

株はテーマで斬れ!/ 日興フロッギー編集部大嶋 奈都子

日本の高齢者人口、つまり65歳以上の人口は3461万人です(2016年9月時点)。ちなみにカナダの全人口は3616万人(2016年4月時点)、日本のツイッター月間利用者数(2016年2月時点)は3500万人、なので、それらと同じくらいと考えると、インパクトは大きいですよね。日本の高齢者人口が2042年に3878万人でピークを迎え、その後は減少に転じるが高齢化率は上昇すると推計され、高齢化の進行とともに日本はゆるやかに、しかし大きく変わっていくことになりそうです。高齢者の生活を支える介護や介護ロボット関連、注目すべき会社がありそうですね。

母の認知症をきっかけに大転換【ツクイ】

働き盛りの世代で入浴介助のサービスを利用した経験のある人は、少ないのではないでしょうか。実際に自分の身内が利用することになってはじめて、ありがたみや便利さ、必要性を実感するはずです。
今では介護サービス大手となった「 ツクイ 」ですが、もともとは土木建設会社でした。介護へ進出するきっかけとなったのは創業者の母親が認知症を患ったこと。事務所の片隅に福祉事業部を置き、入浴介助のサービスをスタートさせました。
日本社会が高度経済成長を経て、高齢化に直面するようになると、ツクイは土木の会社から福祉の会社へと大転換。2004年には株式上場を果たしました。今はまだ介護産業に対して実感が持てない人はまず、投資先として分析することから始めてみては。

医療・福祉の人手不足を解決【エス・エム・エス】

高齢化とともに進行すると見込まれている、介護や看護の人手不足。厚生労働省によると、団塊の世代が75歳以上になる2025年に介護職は37万人以上の人手不足に、看護師についても10万人以上が足りなくなるという推計もあります。
「その頃には親が介護のお世話になるかもしれないのに」と不安になる人もいるでしょうし、より悩みが深いのは採用する側である医療・福祉の現場でしょう。そこで注目される会社が「 エス・エム・エス 」です。“高齢社会の情報インフラを提供する会社”というと抽象的ですが、売上の50%以上を占めるのが看護師や介護士の人材紹介。医療・福祉の人材不足にジャストフィットした会社だということになります。
エス・エム・エスは2003年に設立された若い会社ですが、2008年にマザーズ上場、2011年には東証一部へ上場と成長の階段を順調に駆け上がってきました。業績を見ても創業から12期連続の増収増益です。高齢化を追い風に成長してきた会社といえるのかもしれませんね。

在宅介護、ベッドはどうしよう?【日本ケアサプライ】

親の介護を自宅で行うことなったら、まず悩んでしまうのが電動ベッドや車いすなど、介護に必要な用具ではないでしょうか。「うちのベッドじゃ不便だし、新しいベッドは高そうだし、やっぱり施設のほうが快適かも」なんてあきらめてしまう人もいるかもしれません。
そんな悩みに答えてくれる会社があります。福祉用具のレンタルサービス「グリーンケア」を展開する「 日本ケアサプライ 」です。要介護度や所得などによりますが介護保険制度を利用すれば、多くの用具を1割の自己負担でレンタルすることができます。高価なベッドでもレンタルなら気軽に利用できますよね。
介護保険制度が始まった2000年、いち早く介護用具のレンタルを始めると2004年に東証マザーズへ上場、2014年には東証二部へと市場を変更、2016年3月期には過去最高益を達成するなど日本ケアサプライは順調にステップアップしています。高齢化の進展による一層の成長に期待する、なんてスタンスで見守ってみたい会社です。

スプーンからドローンまで【セコム】

食べ物を口に運ぶことは食事に欠かせない動作のひとつ。手が不自由な人でも食事がとれるよう、介助してくれるロボットが「マイスプーン」です。「日本初の食事支援ロボット」とされており、発売されたのは2002年。すでに約15年の実績があり、オランダやフランス、イタリア、ベルギーなどにも輸出されています。
このマイスプーンを発売したのはちょっと意外な会社。警備業界のトップ企業である「 セコム 」です。警備ロボットをはじめ、ドローンや飛行船、気球を利用した警備システムを実用化させるなど先端技術の活用には積極的な会社のようです。
すでに訪問介護や有料老人ホームなどのメディカルサービス事業をスタートさせているセコム。その売上比率は7.3%(2016年3月期)ですが、ホームセキュリティで培った技術とロボットなどの先端技術との融合は、新しい医療・福祉産業の姿を見せてくれるかもしれません。

ギネス掲載のアザラシ型ロボット【大和ハウス工業】

日本のロボット産業を語るときによく話題にのぼるのが、ロボットベンチャーの代表格ともいえるCYBERDYNE(サイバーダイン)。筑波大学から生まれた大学発ベンチャーであり、マザーズへの上場を果たしていますが、業績はまだ赤字です。
そんなサイバーダインの株主名簿を見ると、創業者に次ぐ第2位に名前があるのは住宅メーカー大手「 大和ハウス工業 」です。じつは大和ハウス工業、家を売るだけでなく、さまざまなロボットを販売しています。出資先であるサイバーダインのロボットスーツ「HAL®」(ハル)はもちろん、アザラシ型ロボット「PARO(パロ)」も注目。アザラシを模したぬいぐるみのような外観ですが、多くのセンサーや人工知能により、「世界でもっともセラピー効果があるロボット」としてギネスブックに記載されています。
大和ハウス工業の売上は3兆円を超えています。ロボット事業の売上、今はまだ微々たる割合ですが2021年の目標は50億円。やがて主力事業へと育っていくのかもしれません。

いかがでしたか? 世界でもトップクラスのスピードと規模で高齢化が進んでいる日本。そんな日本の高齢社会を支える会社なら今後、世界への展開を期待できるのかもしれません。少子高齢化のなかで生まれる企業、ぜひ注目してみてはいかがでしょうか。

今回のテーマで取り上げた上場企業

ツクイ
エス・エム・エス
日本ケアサプライ
セコム
大和ハウス工業

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