6月に入って2万3000円台を一時回復した日経平均株価。 しかし、依然として企業を取り巻く事業環境は不透明なままで、約6割の企業が今期会社計画の公表を見送っています。そこで今回は日興ストラテジー・セレクション採用銘柄の足元の業績と、こんな環境だからこそチェックすべき指標についてご紹介します。
3月期決算:半数が営業減益に
企業は決算を終え2ヵ月以内に決算発表を行う必要があります。そんななか、2020年3月期の企業が決算発表を5月末までに終えました。日興ストラテジー・セレクション採用銘柄では、安くて高機能のアウトドア用品がヒットし続けている 「 ワークマン 」や、ZOZOを連結子会社とした「 Zホールディングス 」などが2ケタの増収を達成しています。
一方、約半数の企業が営業減益となりました。特に「 カネカ 」「 ソニー 」「 村田製作所 」など6銘柄は減収減益に。年度前半の米中貿易摩擦が影響したことや、1−3月期にコロナウイルスの影響で国内外の景気が落ち込んだことなどが業績を押し下げた模様です。
また外出自粛要請によりインバウンドだけでなく国内の旅行者がほぼいなくなってしまったことで、「 京成電鉄 」やホテルを経営する「 共立メンテナンス 」は微増収ながらも大幅営業減益となりました。目先はまだ厳しい状況が続くものと考えられます。
6割の会社が会社予想見送りへ
また、決算発表と同時に公表された2021年3月期の会社予想を見ると、日興ストラテジー・セレクション採用21銘柄中13銘柄が「未公表」としています。TOPIX採用銘柄ベースで見ても、全体の約6割が今期の会社予想の公表を見送っています。
国内では緊急事態宣言が解除されたものの、第二波がいつどれぐらいの規模でやってくるか不透明であることや、いまだに感染拡大に歯止めがかかっていない地域や国があるなど、事業環境が極めて見通しにくいことが背景にあります。
小売系なら月次情報をチェック!
このような予想が立てにくい状況下で、まず取り組んでほしいのが直近の月次情報のチェックです。特に小売系は多くの企業が月次の売上高などを公表しています。それらを確認することで、現状を少しでも正確に把握することができます。
採用銘柄のうち月次情報を開示しているのは、たとえば、ワークマン。6月1日に発表された5月の月次売上高は前年比119.4%、客単価は102%となり、4月の落ち込みから回復したことが読み取れます。 株価もそれに伴い一段の上昇となりました。
株価指数全体は上昇しても、まだ予断を許さない株式市場。自分が収集できる範囲内で少しずつ情報を集めることから始めてみましょう。