第1回 「はじまりの3万円」の巻

28歳中野区女子、今日から株デビュー。/ サワラギ

「株はじめるので、連載させてください!」

すべては1週間前。私サワラギのこのひと言からはじまった。

お金のことで、私の右に出るものはいないと思う。いい意味ではなく、本当に何もわからないのだ。一応社会人として生きているが、給与明細の見方もいまだにわからないし、クレジットカードも銀行口座残高も把握していない。iDeCoとか、NISAとか、老後2000万円問題とか。話題に出るたび「まぁ考えてますよ」的な顔をしているが、頭の中では「イデコっておでこみたいで可愛いな……フフフ」などと全然違うことを考えている。

でも、こんな私が投資できたら、少しでも投資を身近に感じてもらえるんじゃないか。みんなが最初の一歩を踏み出すための、踏み台くらいになれたらいいな。そんな思いで立ち上げたのが、この連載だ。

株経験は、ほぼ「あつ森」のみ

はじめるにあたって、設けられたルールはこの3つ。

その1 教科書は日興フロッギーの記事
その2 投資額は毎月3万円
その3 人気がなくなったら連載終了

その1は、ビギナーのサワラギにとっては好都合だった。私の株経験は、ほぼ『あつまれ どうぶつの森』でのカブ取引のみ。Nintendo Switchの中ではブイブイいわせているが、現実世界での株力は赤子同然だ。だから、日興フロッギーをバイブルとして頼りまくることにした。

その2については、ちょっと安心した。株式投資ってなんだかんだお金持ちの人がやっているイメージだし、もっとドカーン! とお金を投入しなければいけないと思っていた。もちろん3万円だってサワラギにとっては高額だが、ちょっと飲み会やムダ遣いをやめれば出せない額ではない。それに給付金ももらえるし……!

その3については、今ここまで読んでくださったあなた次第だ。「こんなやつでも投資できるのかよ」と軽い気持ちで見守っていただけたら、サワラギ泣いて喜びます。

他人の電気代を1年間払い続けた女

私の支出を円グラフで表すとしたら、上位は確実に「ミス」という項目になるだろう。

入りっぱなしのサブスク、毎回払うコンビニATMの手数料、玄関に積み上がるビニール傘、なぜか2冊買ってしまった本、酔っ払って注文したAmazon、定期的に紛失する鍵などの貴重品……。どこまでを無駄と考えるかは人それぞれだが、我ながら結構ひどい気がする。きちんと家計簿をつけて生活している人が見たら、きっと卒倒してしまうようなエブリデイだ。

最近いちばんポンコツだったエピソードでいうと、私は引っ越してからずっと他人の電気代を払っていた。なんでそんなことが起きるの? と思われるかもしれないが、引っ越した時に旧住所の電気を止め忘れたのだ。普通だったら1、2ヵ月で気づくだろうが、明細的なものは全部くしゃくしゃにして捨てていたので気づかなかったのである。全日本お金ポンコツ選手権があれば、確実に金メダル受賞だろう。

立ちはだかる、マイナンバーの壁

株をはじめるためには、銀行口座とは別に「証券口座」という別の口座を立ち上げる必要がある。そして私、実は証券口座を持っている。「え? ちゃんとしてるじゃん! 裏切りもの!」と思われるかもしれないがご安心を。さかのぼること5ヵ月前、日興フロッギーに仲間入りした際に思いつきで作っただけだ。しかしその道のりは、決して平坦なものではなかった。

多くの人にとって、日興フロッギーの口座開設は超簡単だ。マイナンバーカードまたは通知カードと本人確認書類があれば、スマホをポチポチするだけで3分程度で開設申請ができる。が、家中探しても謎のポイントカードは山ほどあるのに、肝心の通知カードが出てこない……。

しかし! そんなサワラギにも救いの手が。なんとマイナンバーや通知カードがなくても口座開設できる公式の裏技があったのだ。その方法とは、マイナンバー入り住民票というものを市役所でゲットして郵送するというもの。ネットで3分とは言わないが、1週間くらいで見事口座が開設されていた。ありがとう中野区役所。ありがとう日興フロッギー。

頼むぞ、バニラモナカジャンボ

さぁ準備は整った。株選びの記事はフロッギーにも山ほどあるが、どビギナーである私はこの記事を参考にした。この藤野さんという方は投資界のレジェンドらしいが、非常にわかりやすく教えてくれている。偉いのに優しい人だなぁ。「自分が理解しやすいものに投資をする」。なるほどね、じゃあとりあえず理解できる会社に投資してみるか……と思ったところで手が止まった。理解できる会社が、思いつかない! ちなみに口座開設した時に、勢いで 「 日本電子 」という株を買ってみた。四季報をパッと開いたところにあったから、という本当に無鉄砲な買い方をし、しかも、何もわからないままに売ってしまった。

とりあえず頭を冷やそうとアイスを食べた。そして気づいた。理解できる会社は思いつかないけれど、バニラモナカジャンボの美味しさは理解できる! 安直すぎる理由だけど、今年の夏にはコロナも収束し、みんなでいっぱいアイスを食べれたらいいな。そんな希望も込めて、「 森永製菓 」の株をポチッと買ってみた。

緊張とアイスの冷たさで手が震えている。こんなにドキドキしたのは、マサラタウンで最初のポケモンを選んだ時以来かもしれない。でも、新しいことをはじめた嬉しさもちょっとある。さぁ、サワラギの冒険がはじまった。株マスターになれるのか、それとも……。サワラギの未来に、乞うご期待!