アフターデジタル オフラインのない時代に生き残る

今日からお金賢者になれる「1分書評」/ 日興フロッギー編集部

アフターデジタルとは「すべてがオンラインになり、オフラインがなくなる世界」のこと。こう聞いて「?」と思う人の方が感動する本かもしれません。ビジネスの常識を3段階くらいアップデートできますから、投資につなげるのも一策。

アフターコロナを救う? 「オンラインが軸になる」アフターデジタルとは

多くの企業が取り組んでいるであろう「デジタルテクノロジー」。コロナ禍にあってその流れは加速しそうですが、日本のデジタル出発点は「リアルを軸にして、オンラインを活用すること」。そうだよねと一瞬思うものの、この発想、まるでダメらしいです

デジタル先進国の出発点はその逆で「オンラインを軸として、リアルをいかに活用するか?」。日本という国の”井の中の蛙”っぷりを思い知らされる事例が次々と。

例えば、エストニア。信じがたいことに、資産を含む個人情報がオンラインで自由に閲覧できるのだそう。強盗事件があった時には所持金が増えた人をスクリーニングすればよい。情報公開することで犯罪抑止につながるという発想なのだとか。

本書の大部分を占めるのは中国の例で、無人コンビニを展開する中国企業も登場。「流行りだしね」とチャチャを入れたくなりながら読み進めると、彼らの目的は無人コンビニの拡大ではなかった! と予想外の展開に。「買い物の時、人はどのように悩み、商品を決めるのか。購買行動をデータとして分析し、別のビジネスに活かすのが主目的」なのだと言います。

前半は、視座の違いにもどかしくなりますが、後半では日本の強みを活かしつつ「アフターデジタル」に対応する方法を紹介。なかでも、著者のビジネスパートナーである中国人の言葉には胸打たれます。「日本の企業には独特の温かみがある。例えば、ユニクロや無印良品にしてもZARAと比べてなんだか温かい。自分はその秘密を学びたい」と。

デジタル先進国の取り組みだけではなく、日本の良い面、悪い面と本書で初めて知れたことも多々。読み進めるうちに規定路線から脱し、新たな角度でモノを見る目も養われそう。その意味でアフターコロナ必携の書とも思います。