PERで読み解くライオン

月曜日はPERをトコトン!/ 日興フロッギー編集部クリッペ

PER(株価収益率)は会社の利益と株価の関係を表す投資指標の1つです。

株価を1株あたり利益(EPS)で割ることで計算でき、一般的には10倍、15倍というように倍率で表され、倍率が高くなれば「会社の利益に対して株価が高くなっている」ことを表し、割高と判断されます。反対に低くなれば割安と判断します。

PER=株価÷1株あたり利益(EPS)
(もしくは、時価総額÷当期純利益)

「withコロナ」銘柄を考える

感染拡大が収まりつつあり、少しずつ経済が元に戻り始めています。株式市場も急騰・急落する日が少なくなってきました。そうした中、個別ではこれからの新しい私たちの生活を支える銘柄が上場来高値をうかがいはじめています。そこで今回はそんなこれから当たり前になるであろう「withコロナ」と言えそうな銘柄についてご紹介します。

case49:ライオン

今回ご紹介するのは、ハンドソープ「キレイキレイ」や歯磨き粉「クリニカ」などでおなじみの「 ライオン 」です。100株以上の保有で株主優待として毎年自社製品の詰め合わせなどが送られてくることから、株主優待を代表する銘柄としても人気です。

上場来高値(2541円)をうかがう展開

同社の足元の株価は2018年9月26日につけた上場来高値(2541円)に迫る勢いとなっています。また、予想PER(東洋経済予想)は26.4倍と、過去平均とさほど変わらない水準です。世界的な景気の落ち込みで業績や株価が上がりにくい中で、どうして同社は高値更新が視野に入るまで人気化しているのでしょうか。

消毒剤やハンドソープの売上が急増

その要因は新型コロナ感染予防による手洗い習慣の定着にあります。ライオンの事業は、売上高の約6割がハンドソープや歯磨き用品といった「一般用消費財事業」です(2019年12月期ベース)。

新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、年明けからハンドソープなどの売上が大幅に拡大。市場全体で見ると、3月は衛生関連品のうち「手指消毒剤」が前年比10倍以上の売上でした。そのほか「除菌剤」や「うがい薬」、「ハンドソープ」なども軒並み大幅な売上アップとなったことから、ライオンに追い風が吹いたものと考えられます。

「キレイキレイ」の生産能力を3割増へ

こうした衛生関連品に対するニーズ拡大がしばらく続くと考え、同社は香川県の製造ラインを増強し、ハンドソープ「キレイキレイ」の生産能力を3割拡大する予定です。

少しずつ緊急事態宣言が解除されているとはいえ、感染を予防する習慣はこれからも世界中で続くことが見込まれます。「withコロナ」の新しい生活を支える、”ニューノーマル“関連銘柄の筆頭と言えるかもしれませんね。

<PERの読み解き方3ヵ条>
①これからの業績を考える
②会社の人気度を考える
③投資家の心理を考える

今回は、①からライオンを見てきました。新型コロナウイルスの感染拡大で広がる手洗い習慣。その習慣は一過性のものではなく、これからの常識となり、ハンドソープなどを手掛ける同社の追い風となりそうです。私たちの生活を守り続けるライオンの活躍にこれからも期待したいですね。

本記事は、PERを解説するものであり、素材として取り上げた企業への投資を推奨するものではありません。原則として原稿作成時点における情報に基づいて作成しております。また、記載された価格、数値等は、過去の実績値、概算値あるいは将来の予測値であり、実際とは異なる場合があります。投資に関する最終決定はお客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。