テレビや新聞で取り上げられたニュースの裏側を解説する本連載「ニュースの裏事情」。今回は、品川の再開発をめぐる裏事情についてご紹介します。
品川再開発で実現する「約20年前の構想」
「 京浜急行 」は、品川駅西口(高輪口)に所有する複合商業施設「シナガワ グース」の再開発を行っていますが、その共同事業者として「 トヨタ 」を迎えたと発表しました。そのリリースによると、トヨタは「当地区に縁がある」と意味深なフレーズがあります。
品川にはトヨタ系列の「 デンソー 」の東京事務所や研究開発拠点、「 豊田通商 」東京本社があります。愛知県の会社であるため、品川は新幹線での交通の便が良いという理由からここにオフィスがあるとのこと。
「2003年に新幹線品川駅が開業するのに合わせ、『品川駅西口地区まちづくり協議会』が発足。そこにトヨタは地権者として参画していた。水道橋のトヨタ東京本社が老朽化していたので、新本社構想が持ち上がり、名古屋とも交通の便の良い品川はどうかと模索した。その一環の取り組みだった」(トヨタOB)。
同協議会には京浜急行のほか、西武鉄道(「 西武HD 」)、日本コムシス(「 コムシスHD 」)、「 小糸製作所 」も参加していました。
京浜急行はシナガワ グース再開発の共同事業者になったトヨタに敷地の一部を譲渡し、新施設にトヨタは自社オフィスを構えるとのことで、約20年前の構想をこれで達成することになりそうです。
品川駅は隣の高輪ゲートウェイ駅周辺エリアの開発が進んでいます。また西武HDも、高輪・品川・東京の3つのプリンスホテルの再開発を検討しており、その敷地面積は約13万平方メートル。そんな地域で京浜急行とトヨタがタッグを組んだのです。
スマートシティ品川の誕生か!?
ところで品川というと東口(港南口)には「 NTT 街区」があります。「 NTTデータ 」品川ビルやNTT都市開発が開発した品川シーズンテラス、NTTコムウェアの本社もあります。
NTTというと、3月にトヨタとスマートシティ事業で提携すると発表したことは記憶に新しいところ。具体的には静岡県裾野市のトヨタの工場跡地で実証実験を行いますが、合わせて品川のNTT街区でも取り組みを行うとのこと。とすれば、トヨタの品川進出、さら再開発計画にあたって品川を東京のスマートシティの核にする構想があるのではないでしょうか。高輪ゲートウェイから品川駅高輪口、さらに駅を跨いで港南口までが次世代技術満載のオフィス街になるかもしれませんね。
(出典:日本証券新聞)