世界中で猛威を振るう新型コロナウイルス。今回は政府も力を入れて開発をサポートしている、治療薬・ワクチン開発の動向と関連銘柄についてご紹介します。
アビガン、レムデシビルなど臨床試験がスタート
「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)」(以下、新型肺炎)患者に対する安全で確実な治療薬は現時点では存在しません。他の疾患向けに承認済み、あるいは臨床試験が実施済みで、基本的な安全性が確認されている既存薬を転用するアプローチが現在進められています。
具体的な薬剤としては、新型肺炎と同じくウイルス感染が原因であるHIV感染症(エイズ、後天性免疫不全症候群)、インフルエンザ、エボラ出血熱の治療薬などが挙げられます。特に「レムデシビル」は、患者数の多い中国での臨床試験で先行しており、2020年4月にも結果が判明する見込みとなっています。
新薬開発を目指す動きも活発化
新たに治療薬の研究開発を活発化させる製薬やバイオ企業も出始めています。比較的多くの企業が手がけるのが、抗体医薬品(「抗体」を主成分としてつくられた医薬品)です。
新型コロナウイルスを構成するタンパク質などを抗原(ターゲット)として、抗原と特異的に結びつく抗体を患者に投与することができれば、ウイルスの動きを抑制することが可能となると考えられます。新型肺炎から回復した患者から抗ウイルス活性を持つ抗体を選別するなどして、有効な抗体を開発していくものとみられます。
米国ではワクチン開発がスタート
感染した患者に投与する治療薬とは別に、将来的な感染の予防や重症化を防ぐことを目的としたワクチンの研究開発が、米国などで始まっています。ワクチン接種とは不活化した「病原体(ウイルスなど)」や「病原体の一部」などを予め投与することで、体内に免疫を作り出します。インフルエンザワクチンが代表的なものですね。
重症化リスクの高い高齢者だけでなく健常者や若年層などにも投与する必要があるため、相当量を用意する必要があります。ワクチンの製造販売を行う国内企業も複数あり、今後の動向に注目が集まりそうです。