みんな、お世話になっている! 「食の安全」を守る企業

株はテーマで斬れ!/ 日興フロッギー編集部宍戸 未林

私たちの生活に欠かせない衣食住の中でも、「食」は毎日の活力を満たす重要なもの。単に栄養を摂るだけでなく、おいしいものを食べるのが大好き! という人も多いでしょう。そんな日々の食生活をさまざまな場面で支える企業5つを厳選し、紹介します!

食品メーカーが頼りにする「縁の下の力持ち」【アリアケジャパン】

ラーメンチェーン店のダシ、高級レストランで使うソース、即席めんからカレールウまで、あらゆる味付けを担うプロ。「 アリアケジャパン 」は畜産系天然調味料で国内トップシェアを誇る会社です。BtoBビジネスが中心なので一般消費者が企業名を目にすることは少ないですが、「食品業界のインテル」と呼ばれるほど、食品メーカーにとってなくてはならない存在です。
同社は、不可能といわれた天然調味料のエキスの自動化に成功し、他社を大きく引き離しました。料理人の味を機械で再現し、大量生産することで、各社が自前で作るよりも10~50%のコスト削減を実現できるといいます。さらに、自前の研究所を持ち、営業マンが有名店を回ってスープやソースを採取して研究し、元シェフなどで構成される研究員が味を分析するなど、日々ノウハウを蓄積し、顧客にアドバイスを行っています。

原材料のトレーサビリティ(追跡可能性)と安全性の確保にも熱心に取り組み、子どもからお年寄りまで安心して食べられる商品作りを目指す。国内の人口減少に苦しむ食品メーカーが多い中、海外で高まっている健康志向のニーズに応えて、業績も堅調です。私たちの食生活を支える「縁の下の力持ち」企業に、注目してみてはどうでしょうか。

株主優待に農産物が届く! 理念あるEC業者【オイシックス】

「豊かな食生活を、できるだけ多くの人に」という理念の下、2000年に創業された「 オイシックス 」。創業者である高島宏平社長が大学時代に立ち上げたベンチャーが母体で、ネットでの買い物が人々に根付く前から、有機野菜や無添加の安全な食材をEC(電子商取引。インターネットなどを通じ、物やサービスを売買すること)で販売するビジネスモデルを構築し、粘り強く続けてきました。

20品目の野菜の取り扱いからスタートし、いまや野菜のほか肉・魚・日配品・惣菜・スイーツ・酒類など、扱う商品は2000品目以上。定期購入会員数は20163月期で111000人を超え、「作った人が自分の子供に食べさせることのできる食品のみをお届けする」というオイシックスの事業に共感する顧客は着実に増えています。
株主優待はもちろん、こだわりの農産物(100株以上の保有者のみ)。2015年度は山形の生産者が作った「ひとめぼれ」と、東北復興支援につながる「のり」がもらえたとあり、株主が金銭以外の”豊かさ”も味わえる投資先といえそうです。

スーパーの中の直売所で消費者と農家をつなぐ【農業総合研究所】

ECで農家と消費者をつなぐオイシックスに対し、「 農業総合研究所 」はリアルな直売所を使って、農家のビジネスを応援する会社です。2007年に及川智正社長が和歌山県で創業。スーパーなどの中に売り場を借りて、農家から預かった野菜・果物を販売する「委託販売システム」を考案し、東京・大阪を中心に広めています。導入店舗、登録生産者の増加により順調に売り上げを伸ばし、2016年6月に東京証券取引所マザーズ市場へ上場。これからの成長が期待されます。

同社は、早い段階から生産者向けポータルサイトを作り、商品の流れや売れ行きの「見える化」を行っています。このおかげで生産者は、「何がどのスーパーでどれだけ売れているか」「他の生産者はいくらで売っているのか」といった情報をリアルタイムで確認することができ、モチベーションを高めたり、次の策を練ったりすることにつながります。
消費者は身近なスーパーで新鮮な野菜・果物が買えて、生産者は手をかけて育てた農作物を売る手ごたえを実感できる。さらに同社が儲かれば、売り手よし、買い手よし、世間よしな「三方よし」の事業といえますね。

「まじめな卵作り」で北海道から全国を目指す【ホクリヨウ】

毎日の食卓に欠かせない卵。卵焼きや卵かけごはん、ゆで卵など、日本人が大好きな食材です。そんな卵作りにまじめに向き合う北海道の会社が、「 ホクリヨウ 」。1949年に小樽市で創業して以来、自社で生産した鶏卵を北海道内のスーパー・レストランに直接販売し、信用を築いてきました。いまや道内の鶏卵販売シェアトップクラスの規模を誇るほどに成長し、2016年2月に東証一部に上場。道外初の拠点として盛岡支店を開設するなど、これからは本州進出を積極的に進めるとしています。

ホクリヨウのキャッチコピーは「庭園農場でつくられた卵」。芝生と木に囲まれた広大な農場に、病気が発生しても広まらないよう分散して設置された鶏舎はのんびりして見えますが、温度や給餌などは全自動で管理するハイテクを取り入れています。120日くらい育った大雛(だいすう)を購入して養鶏する生産者が多い中、ホクリヨウは専門育成農場を設置し、生まれたばかりの雛から育て上げるほど、「衛生的で健康な鶏の飼育」へのこだわりを強く持っています。
トレーサビリティの手法もいち早く導入し、パック詰めされた工場や生産農場までわかる徹底ぶり。株主優待はもちろん、「たまごギフト券」。北海道から全国に自慢の卵を広める事業を応援しながら、おいしい卵をいただく。卵好きの人には、たまらない銘柄です。

検査とコンサルティングで食の安全を支える【ビー・エム・エル】

最後は少し視点を変えて、食の安全を「検査」で守る会社を紹介しましょう。
ビー・エム・エル 」は、臨床検査の大手企業。本業は血液検査や尿検査といった検体検査業務を医療機関から請け負う会社ですが、昨今の食品の安全・安心への意識の高まりを受けて、子会社として「BMLフード・サイエンス」を設立。医療分野で培ってきた技術を生かし、食品衛生検査事業を展開しています。

検査できる内容は、「栄養表示基準」を満たすためのカロリーや栄養素の成分分析、食中毒を防ぐための微生物検査、放射性物質やアレルギー物質が含まれないかの検査、さらに農薬の残留検査など、多岐にわたります。検査だけでなく、飲食店の厨房点検、食品工場監査、衛生管理・品質管理のしくみ作り・システム構築支援まで行い、安全・安心のコンサルタントとして食品業界を支える同社。今晩、スーパーであなたが手に取った食品の成分表示も、BMLフード・サイエンスの仕事かもしれません。

ふだん何気なく口にしている食品の安全・安心が、多くの企業活動に支えられていることが、おわかりになったと思います。どんなに時代が進化し、テクノロジーが進んでも、人が「食べる」という行為はなくなりません。時代に関わらず必要とされる業界で、さらに安全・安心への注目が集まる中、この分野はおさえておきたいところではないでしょうか?

今回のテーマで取り上げた上場企業

アリアケジャパン
オイシックス
農業総合研究所
ホクリヨウ
ビー・エム・エル

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