投資家みたいに生きろ

今日からお金賢者になれる「1分書評」/ 日興フロッギー編集部

7000人以上の経営者にインタビューし、ひふみ投信を立ち上げたファンドマネージャーの著作。「どの商品がオススメか」といった話はほとんど出てきませんので、あしからず。肩の力を抜いた語り口で、投資家的な思考法や習慣を教えてくれます。

投資家的思考で明るくリスクヘッジ。投資は「未来を開くこと」

冒頭で「老後2000万円問題」についての記述があります。危機感をあおるにはもってこいの話題と思いきや、意図するものはまったく逆。「不安の正体」を明らかにし、「未来は思うよりシンプル」である、と読み手の心を解きほぐすことからスタートします。

いわく、投資の本質とは「未来を切り開くこと」。

著者は堀江貴文氏が携わるロケット事業のスポンサーでもあります。ロケットの初号機・2号機が打ち上げに失敗。当然、投資続行への葛藤が生じます。再び失敗すれば、「アイツの選択眼は大丈夫なのか?」と非難される不安もある。けれど、最終的に下した決断は「事業を信じて託すこと」。

結果、ロケット3号機は打ち上げに成功。会場ともども興奮に包まれたそうですが、投資で未来が生まれた瞬間でもあったはず。

本書では、こうした投資家ならではの実体験を織り交ぜつつ、その「思考法」を日常レベルまでぐっと掘り下げていきます。例えば、すぐに実行できそうなのが「消費=応援と考えてみること」。商品にエールを送るつもりでお金を使う、これは効果絶大で1ヵ月ほど続けるうちに、投資家的な思考が身につくそう。

ほかにも、投資に必要不可欠なのが「変化を感じ取るクセ」である、と。そこで最新技術に疎い人へのオススメは、定期的に「家電量販店の全フロア―をくまなく巡ること」。食や健康、美容グッズなど生活に密着している場所だけに、世間の流行りから日本全体の景気まで感じられ、定期的な観測によりある種の嗅覚が養われるそうです。

もう一つ、個人的に新しく思えたのが、相手が年下であろうと年上であろうと、「自分と同時代の人である」と捉える著者の交流術。日本人は同世代を好みがちですが、「同世代ではなく、同じ時代を生きる仲間として同時代にくくる」と。この発想にもまた、未来が見えるような気がしました。

日興フロッギーでは、これまで、著者・藤野英人さんの思考法や投資術を多数ご紹介してきました。
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