有望企業が続々! ロードサイド出身企業

株はテーマで斬れ!/ 日興フロッギー編集部海道 建太

トレンドの変化をいち早く察知することは株式投資で成功するためのポイントのひとつです。そこで注目したいのが「ロードサイド」。郊外の幹線道路沿いです。今は駅近で見かける、あのラーメン屋さんや大規模量販店も、もとをたどれば郊外で発展し、都心部へと進出してきたロードサイド出身銘柄。「自分は郊外に住んでいるから、トレンドに鈍感だ」なんて思ったら大間違いです。ロードサイド店舗を日々チェックできるからこそのメリットもありそうです。ロードサイド発の注目企業、どんな会社があるのか、見ていきましょう。

ロードサイドから世界へ【くらコーポレーション】

ロードサイドを中心に展開していた回転寿司の「無添くら寿司」。東京だと品川や池袋、大阪だと梅田や天神橋など都心部でも見かけるようになってきました。運営元である「 くらコーポレーション 」は2001年に上場を果たしており、ロードサイド銘柄の典型的なサクセスストーリーを歩んでいます。

くらコーポレーションの強みのひとつが、独特な商品の開発。「すしやのシャリカレー」や「シャリコーラ」、「牛丼を超えた『牛丼』」といった「おっ?!」と思わせる商品を毎年発表しています。こうした取り組みもあってか、くらコーポレーションは2016年10月期に過去最高益を更新。2017年10月期もさらに利益を増やす予想となっています。

ロードサイトから都心部へ進出するくらコーポレーションですが、最近では、海外への展開も進めていて、すでにアメリカに11店舗、台湾にも5店舗が出店済み(2016年10月末時点)。日本文化の担い手としても期待が持てそうですね。

最新トレンド「郊外型カフェ」で上場【コメダホールディングス】

この数年、ロードサイドで目にする機会が増えたのは「郊外型カフェ」。丁寧に淹れられたコーヒーを広めのテーブルでのんびり味わえることから人気となっています。既存のカフェやファミリーレストランなどによる郊外型カフェへの参入も進んでおり、いわば「ロードサイドの旬」といえる業態です。

そんな中、郊外型カフェの老舗が2016年に上場を果たしました。「コメダ珈琲」を展開する「 コメダホールディングス 」です。郊外型カフェがトレンドとなったのはこの数年ですが、コメダ珈琲の創業は1968年。東京23区内に出店したのは創業から約40年が経過した2007年のことでした。いまでは全国に700を超える店舗を展開するまでになっています。

すでに中国へ1店舗目を展開(2016年4月)するなど海外にも進出していて、2020年度末には国内外で1000店体制をめざしているコメダホールディングス。コメダ珈琲といえば、デニッシュにソフトクリームをたっぷり乗せた「シロノワール」が看板メニューです。「シロノワール」の味がロードサイドから都心部まで全国津々浦々に根付いていくのか、今後に注目です。

運転が苦手なママも安心!【西松屋チェーン】

ロードサイド店舗への主な”足”となるのはクルマです。クルマでの移動には、渋滞時のトイレ、そして駐車に苦手意識を持っていたりと、心配要素がある人も少なくありません。小さい子どもがいる家庭はなおさらでしょう。

そんな家庭に配慮した立地戦略を採用しているのが「 西松屋チェーン 」。ベビー用品や子ども衣料の専門店です。西松屋のお店が近所にある人は立地を思い出してみてください。大通りから一本、奥へ入った場所にありませんか? 西松屋の立地はあえて幹線道路沿いを避けているそうです。幹線道路沿いよりも家賃を割安に抑えやすいですし、車通りの少ない脇道なら、運転の苦手な人でも駐車場に入りやすいというメリットもありそう。おもしろい発想ですよね。

西松屋チェーンでは大手電機メーカーを退職したエンジニアなどを積極的に採用しているともいいます。子ども服とは無縁のようですが、モノづくりの経験が豊富な社員の知識がプライベートブランド商品の品質向上にひと役かっているようです。西松屋チェーンの経営戦略、他社とはひと味違うようですね。

今や表参道のランドマークに【AOKIホールディングス】

表参道を歩いていると、ひときわ目を引く洋館風の建物が「アニヴェルセル表参道」。独特な外観や、表参道交差点からすぐの好立地もあって、印象に残っている人が多そうです。あの建物、カフェレストランと結婚式場なのですが、運営元は「 AOKIホールディングス 」。メンズスーツでおなじみのAOKIです。

意外にも感じますが、AOKIはじつは紳士服だけの会社ではありません。ヨーロッパの邸宅をイメージしたウェディング施設「アニヴェルセル」を全国に展開していますし、南仏のリゾートホテルをイメージしたカラオケ店「コート・ダジュール」や、インターネットやマンガを楽しめる複合カフェ「快活CLUB」なども、AOKIホールディングス傘下の会社による事業。ファッション事業以外からの売上は3分の1を超えています。

1958年に創業し紳士服店としてロードサイドで育ったAOKIですが、今や紳士服業界2位。さらには事業の多様化を進め、表参道のランドマーク的存在にまでなりました。これからの変容も楽しみですね。

「バッドロケーション」を逆手にとった【バルニバービ】

もしも飲食店を出店しようと思ったら、どんな立地を選ぶでしょうか。通行の多い繁華街、自動車の往来が活発な幹線道路沿い、あるいは商業施設内――。いろんな考え方がありますが、かつて材木問屋だった街の一角や印刷工場の跡地、公園など、普通の飲食店事業者が注目しないような「バッドロケーション」への出店を戦略的に進めている会社が、グッドモーニングカフェなどを運営する
バルニバービ 」です。

バッドロケーション戦略では、店舗の家賃を低水準に抑えられ、また競合店が少ないため、その土地のランドマークとなり集客力の向上が望めるメリットがあるそうです。この戦略もあり、バルニバービの売上は2006年7月期から2016年7月期まで11期連続で増加しています。

ロードサイドとはまた少し違った視点ではありますが、独自のバッドロケーション戦略を武器に全国73店舗(2017年1月末時点)を展開するバルニバービ。ちょっと変わった会社ですよね。気になった人はバルニバービの店舗を探してみて、自分の目と舌でチェックしてみては。

いかがでしたか? 今回は、ロードサイドに着目し企業を紹介していきました。特殊な立地を逆手に取り、商品のアイデアや顧客ニーズの分析により、都心部、更には海外へと事業を展開している企業もありましたね。ロードサイドの店舗から、トレンドの変化に気付けるかも? そんな観点で、投資のヒントを探してみてはいかがでしょうか。

今回のテーマで取り上げた上場企業

くらコーポレーション
コメダホールディングス
西松屋チェーン
AOKIホールディングス
バルニバービ

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